アミューズメント業界のネガティブなイメージを払拭。企業価値を高め、リーディングカンパニーに。
~ビープラスグループ株式会社(大分市)の事例
パチンコビジネスを展開するビープラスグループ株式会社は、昨年12月、アミューズメント業界初の「安全衛生優良企業公表制度」認定企業になった。同社は事業においては成長を遂げているが、アミューズメント業界のマイナスイメージによる雇用者不足や離職率の高さに悩んできたという。そこで安全衛生優良企業公表制度を知り、職場環境のネガティブなイメージを払拭できないかと認定活動を決意した。
「アミューズメントは国からの認定を取得しにくい業界。ブラック企業のように思われてしまうところがあります。ジレンマはありましたが、それをずっと受け入れてきました。ネガティブな業界でもホワイトな認定がいただけるなら、ぜひ取得したい!と即決したのです。」
「パチンコ事業はもちろん集客が肝心です。でも、その前に社員が働きたい、辞めたくない!と思う会社でないと、お客さんも集まらないと思うのです。人が集まる、離職率の低い会社にしたい。ネガティブなイメージのある業界でも、こうした活動をしているんだと企業価値としてアピールしていきたいと思い活動を始め、認定を受けたのです。」
≪ビープラスグループ(株)の安全衛生活動例≫
・労働時間の抑制
・リフレッシュ休暇の取得
・100回登山:約3ヵ月に1回、定期的に各ブロックごとに登山を行い、運動不足解消と自分の体力の認識を図る
・ハラスメント予防対策:定期的に外部講師を招いての研修、およびメンタルヘルス担当による現場スタッフへのヒアリング
・受動喫煙防止対策:分煙の励行
・ストレスチェックの実施
ビープラスグループ(株)にとって、これらの取り組みの中で最も難しかったのは、「労働時間の抑制」と「リフレッシュ休暇の取得」だったという。アミューズメント業界で働く現場スタッフは残業に慣れており、長時間労働は当たり前だったからだ。そこで、仕事の棚卸をし、役職含めて情報を共有しオペレーションの改善を進めた。すると新たに人を採用しなくても残業時間は削られていき、スタッフの公休を少しずつ増やせるようになった。最初は無理だとの声も多かったが、地道に3年かけて、今では店長でも月8回休めるようになったという。
「スタッフには、安全衛生優良企業として認定がとれたことを誇りに持って、これからも勤めてほしいと思います。両親や兄弟に対しても自信を持てる職場をつくりたい。そういった環境を作って初めてお客様に楽しい遊びを提供できる会社になれると思っています。労働環境を整備し企業価値を高め、リーディングカンパニーになっていきたい。認定は次の3年に向けての新しいスタート。また次の取り組みに向かっていきたいです。」
企業の経営資源はモノ(サービス)、金、情報、そして「人」だと言われている。モノやサービスをつくり、世の中に提供する前に人材を育てなければ、いつしか事業は立ち行かなくなるだろう。今、企業と労働者の関係について、考え方も職業意識も劇的に変化している。以前にも増して働く環境にシビアな目をむけられるようになった日本社会において、企業は何を大切にすべきなのか、どのような職場環境が求められていくのかを考え直さなければならなくなった。
従業員満足度の向上は、単に従業員の不満を解消することではない。会社には多様な価値観を持つ従業員が集まり、それぞれ性格も考え方も違う。そのためにも従業員の声をトップがくみ取り心身の健康に配慮していくことが、従業員満足度向上のためには不可欠だ。会社を信頼し安心して働ける環境づくりこそが企業価値を高めていく。
安全衛生優良企業公表制度は、まだ始まったばかり。今後さらに普及していかなければならない制度である。まずは経営のトップが社員と職場環境の整備に目を向け、こうした制度を活用することで、経営の軸足を社会に示すことが求められる時代になるのかもしれない。