軽薄短小の「人材」、重厚長大の「人財」

竹村 先生の本を読んで共感したことがあります。結果を出せず経営難に苦しんでいる経営者が業績悪化の原因としてあげる5項目です。
先生は1「景気や政策が悪い」、2「業種、業態が悪い」、3「規模が小さい」、4「ロケーションが悪い」、5「大型店、大規模企業が悪い」の5つをあげておられます。5つに共通しているのは「問題が外にある」と考えていることです。そう考えること自体が問題です。

さて、ここで聴講に来られた方にお聞きしたいとことがあります。皆さんの会社でも「ジンザイ」という言葉を使い、部署名もあると思います。そこでお聞きしますが、「人材」と「人財」のどちらの漢字を使っておられますか? 挙手で教えてください。

……なるほどわかりました。どうやら半々のようです。しかし一般的には「人材」を使う企業が多く、「人財」を使う企業は3割以下だと思います。このセミナーに参加されている企業なので高い問題意識を持っておられることを反映しているのだと思います。

坂本 確かに今日の参加企業は「人財」を使う比率が高いと思います。少しずつ人材ではなく、人財を使う企業が増えてきているとはいえ、まだ少数派です。しかしわたしはどちらの表記を使うかで、人に対する考え方が表れていると思うのです。
「人材」は軽薄短小の材料として人を見ています。軽く、薄く、短く、小さい方がいいと、つねに人を比べているのです。
「人財」はその反対で重厚長大です。重く、厚く、長く、大きい方がいい。そして人を比べないのです。「人財」の観点では、男がいいか、女がいいかという比べ方はしません。健常者、障がい者も問いません。正社員か非正規社員かの雇用形態も比較せず、社内・社外の区別もしないのです。軽薄短小の人材は外を傷つけ不幸にしますが、重厚長大の人財は人を元気づけ、幸せにします。

そういう内容を20年前に話した時にある大企業の人事本部長が聞いておられ、後にお便りを頂きました。「全くその通りだ。人材から人財に変われば日本はふたたび元気を取り戻すだろう」という涙の出るようなうれしい内容でした。

人間の持つ4つの側面と4つのニーズ

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