紙メディアから就職ナビに移行して顔が見えない採用/就職活動になった
寺澤 就職ナビの何が問題だとお考えになったのですか。釘崎 ちょうどこのころは、アジア通貨危機、消費税増税、国内消費縮小、山一証券や拓銀などの経営破綻など、日本経済がどん底に向かっていった時期でした。2000年の新卒求人倍率は1.0を下回ったほどです。
この景気後退と就職ナビの登場は、企業の新卒採用と学生の就職活動を大きく変えました。それまでの新卒採用は紙メディアでPRしたり、採用担当者は足しげく大学に訪問したりと、非常に多くの手間とコストがかかっていました。しかし人事と学生の互いの顔は見える活動でした。
ところが省力化した就職ナビによって、人も金も使わず、低コストで宣伝ができるようになったのです。
学生も就職ナビを見れば就職活動をした気分になり、企業も就職ナビのエントリー者数を増やすことに注力し始めたのです。学生も企業もお互い足を使わない就職と採用活動が始まったのです。
互いに自分の目と耳と足で事実を確認せず、知ったつもりの(顔が見えない)採用/就職活動の環境を作ったことが就職ナビの一番の問題点だと思います。