ネットワークの外部依存性とiPhoneの登場

21世紀ネットワーク社会の到来と新しい人材の在り方
産業革命時代の常識はIT革命以降には通用しません。たとえばDeNA、GREEやLINEを運用するNHNなどのネット成功企業の売上は、営業マンが汗水垂らして稼ぎ出したものではありません。ユーザーがネット上で自己増殖するのです。この外部依存性はネットワークの最大の特徴の一つと言っていいでしょう。
1990年のIT革命が金融革命を引き起こし、金融革命は1997年に世界金融恐慌を引き起こし、2000年にはITバブルも崩壊します。しかしIT革命のうねりはその後も力強く世界を動かし続けます。そして21世紀が到来し、大きな転機は2008年に起こりました。
リーマンショックによって世界の金融が不安定化し、いまも火種は燻っています。そしてこの年にiPhoneが発売されたのです。
iPhoneは携帯電話業界を一新しました。それまでの日本では、製造した携帯電話はdocomo、au、ソフトバンクが買ってくれました。真のユーザーはコンシューマーであるはずですが、メーカーが意識するお客様は携帯電話を買ってくれるキャリアでした。
しかしそんな思い込みはiPhoneによって完璧に一掃されました。日本の携帯電話メーカーだけではありません。フィンランドのノキアという携帯電話メーカーは世界の携帯電話市場で大きなシェアを持っていましたが、いまは低迷しています。
スマホだけでなく、タブレット端末も市場を変えました。マイクロソフトは劣勢を挽回しようとWindows8を発売しましたが思うように普及せず、Androidタブレットが売れています。

ソニーも1990年のころに転機を迎えていました。1980年代にビクターが開発したVHS方式とソニーが開発したベータ方式の規格をめぐってビデオ戦争が起き、ソニーが負けたのです。このころのビクターとソニーは同じくらいの規模でした。
そしてソニーはサービス産業への脱皮を図ります。それまでのソニーはビデオ、オーディオ、テレビなどのメーカーでしたが、銀行、生保、損保、ミュージック、ピクチャーと多様なサービス産業に乗り出していったのです。そしてわたしが1995年に社長に就任してから、PC、ゲーム、ミュージック、ピクチャー、保険などの新規事業分野が急伸し、売上高は約2倍になりました。
いま三つの波の影響を受けている日本企業でも、これまでの構造での延命戦略とともに、新しい構造での成長戦略が求められています。
ビジネスモデルの再定義、産業モデルの再定義、顧客と市場の再定義、自社の再定義、事業ドメインの再定義が必要です。
そして構造が変われば必要な人材も、マネジメントも変わるのは当然です。いまだに日本の教育は大量生産に適した調和型の人材を生み出していますが、時代遅れです。企業組織はいまだに20世紀型の階層型ですが、21世紀に求められているのは自律分散型の組織であり、そのマネジメント手法が重要なのです。

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