問題児を変えるコミュニケーション術

第19回 無断欠勤、悪ふざけ、バイトテロ…… パターン別“問題児バイト対策”
このように、問題児たちの行動にはそれぞれ異なる理由があり、欲求に沿った接し方をしない限り、なかなか改善されません。大切なのは、問題児たちを“叱って矯正する”のではなく、彼らのタイプに合った接し方で根気強く“教える”ことです。

タイプ別コミュニケーションの取り方
●天然無知型

× 「なんでできないの?」「そんなことも知らないの?」
○ 「~だから、こうしなきゃだめだよ」「次はこうしよう」
ポイント:素直な性格であるため、きちんと説明して理解してもらうことが大切。していいこと、悪いことを何度でも教える。理由とセットにすると効果的。
●武勇伝アピール型
× 「別にすごくない」「あの子のほうがすごいよ」
○ 「今、いい動きしてたね!」「周りのレベルも引き上げてあげてよ」
ポイント:存在を認め、頑張っている点を褒めることで承認欲求を満たす。「ありがとう」の声掛けも◎。
●お笑い芸人型
× 「あんまり面白くない」「ふざけないでくれる?」
○ 「盛り上げ上手だよね」「あのテーブルは常連さんだから、サービスしてあげて!」
ポイント:接客や渉外など、エンターティナーの持ち味を生かした仕事や役割を与えること。人を楽しませることが好きなので、その気持ちをお客さんへのサービスで発揮してもらう。
●雇用形態回避型
× 「人としてどうなんだ」「責任感を持ちなさい!」
○ 「社会人として大切なことだよ」「この経験が将来役に立つよ」
ポイント:一人前の社会人として扱っていると理解してもらうこと。自らの成長につながるなど、業務に携わるメリットを教える。
●レジスタンス型
× 「店の印象が悪くなる」「不機嫌な顔をするな」
○ 「何があったか聞かせてほしい」「落ち着いて話をしよう」
ポイント:お店に対する不満から反発心を抱いているケースが多いので、理由を聞く機会をきちんと設け、聞く姿勢を見せる。意見を受け止め、真摯に対応を。

 「天然無知型」は、社会経験が少ない分うまく教えてあげれば、グングン成長します。同時に、「武勇伝アピール型」「お笑い芸人型」はそれぞれの良さを認めてあげることで持ち味を発揮し、スタッフ内のリーダーやムードメーカーとなってくれるはず。

 冷静な「雇用形態回避型」も、コミュニケーションを重ねることで心を開いてくれれば、自らの責任の範囲を広げて力になってくれます。そして、「レジスタンス型」も本人の不満をきちんと聞き、店の状況や方針を理解してもらうことで頼れる仲間に戻ります。

 店長のコミュニケーションの取り方次第で、彼らの短所は長所へと変わるのです。

問題行動の予防は“質より量”のコミュニケーションから

第19回 無断欠勤、悪ふざけ、バイトテロ…… パターン別“問題児バイト対策”
また、どんなに忙しくても、日頃からスタッフとのコミュニケーションを欠かさないことも大切です。60分のミーティングを1回行うよりも、1日1分のコミュニケーションを60日積み重ねるほうが、スタッフも受け入れやすい。「おはよう」「お疲れ様」といった一声をかけるだけでも効果があります。一人ひとりに声をかける時間が取れないなら、まずは日々の売上を全スタッフにメールで送ることから始めてみてください。

 大切なのは、現場のスタッフたちを絶えず気にかけている姿勢を見せること。こうした日々のコミュニケーションが問題行動の抑止になるだけでなく、信頼関係の構築にも役立ちます。もし、何らかのトラブルで辞めるスタッフがいても、最終出勤日には花を渡したり送別会を開いたりして、今までの感謝を込めて送り出しましょう。これは、残るスタッフの心をケアする意味もあります。

 スタッフたちと良い関係を築ければ、大切な仕事や新人教育を少しずつ任せられるようになり、1年後には自身の業務も楽になるはず。彼らの素行に悩まされる今こそ踏ん張りどころ。お店の未来のために、頑張って乗り切りましょう!

提供:インテリジェンス「an report」
http://weban.jp/contents/an_report/
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