「仕事に必要な能力」や「客観的事実」なら記載OK
“限定”でNGになるのは、資格や経験についての項目だけではありません。「ヒゲ・長髪不可」や「明るくハキハキした方歓迎」といった外見や性格に関することも“求職者の限定”にあたるため、基本的には違法です。「そんなことを言ったら何も書けないじゃないか!」という声が聞こえてきそうですね。残念ながら、まさにその通りなのです。募集側が「こんな人が欲しい」と思い描く応募者像は、法的に認められている例外を除いてほとんどが“限定”にあたります。
では逆に、「書いてもいいこと」とは何でしょうか?
例えば、体力のある若い男性を募集したい時。「体力のある若い男性歓迎」と、そのまま書いてしまうと“限定”に該当してしまいます。
この場合は、「20代の男性が多い職場です」といった“客観的事実”や「○キロ程度の荷物を運ぶ仕事です」という仕事柄“必要となる能力”を提示する書き方に変えれば、法的に問題はありません。事実を伝えることで、「求職者自身に、自分にできる仕事か否かの判断をゆだねる」のがポイントです。
「労働条件」の記載は必須
求人原稿には、「書かなくてはならないこと」もあります。そう、「労働条件」の項目です。時おり、求人広告で「委細は面談にて」とぼかした表現を目にすることもありますが、実はこれも法律的に見るとNGです。というのも、「職業安定法」では、「求人を行う時は、求職者がわかりやすい言葉で、業務内容、賃金、労働時間などをハッキリ明示しなければならない」と定められているのです。
そこで、募集時に書くべき基本的な内容を、厚生労働省令をもとにまとめてみました。
労働条件として書くべきこと6つ
(1)業務内容
(2)労働契約の期間
(3)就業の場所
(4)始業&終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日
(5)賃金の額
(6)雇用保険の適用
特に、トラブルになりやすいのが「(5)賃金の額」の記載です。
たまに「時給900円~1,500円」と額に幅を持たせた記載を見ますが、この額と求職者が実際にもらえる賃金の額とギャップがあった場合は、トラブルに発展しかねません。実際に訴えられて慰謝料の支払いを認められたケースもありますから、賃金はなるべく実際に近い金額を記載しましょう。求人広告のスペースにすべての項目を書ききれない場合は、例えば自社サイトにて情報を補足するなど、求職者へ配慮することをおすすめします。