別の設問ですが、世間に対する見方で
「世の中には、本気で取り組む気になれないほどくだらないことが多い」
というものもあります。この回答傾向は、

そう思う   15.4%
わからない  20.2%
そう思わない 64.4%

この設問も「そう思う=くだらないことが多い」と考える割合はこの10年で最高値になっています。2005年は11.7%でした。

両方の設問に共通する根底にある意識は「一生懸命やらなくてもいい」というものではないかと思っています。この両方の設問に
「そう思う=世の中にはくだらないことが多いし、運や要領で結果は左右される」
と思っている人は、他にも次のような傾向があるようです(1980人中150人、7.5%)。

・サラリーマンには拘束がつきもの
・自分の好きでない仕事を割り当てられたら、意欲を失うのは当然。
・仕事は所詮つらいもの。
・新入社員は、最初から頭の悪い人と思われてもよいと考えた方が色々な面で得。

ある種、達観しているようにも感じられますが、彼らに一生懸命さや高いレベルの業務はこなせそうにありません。
このような新入社員は増えていると思われます。
おそらく、表面では「一生懸命やる」「真面目に従う」ことはしているはずですが、その実、「なんとか要領よくやろう」「楽な方法を探そう」といしているのだと思います。
実際のところ「楽な方法」があれば、ほとんどの人はそちらを選ぶでしょう。
残念ながら、多くの場合、「楽な方法」は努力の末に手に入る技能であり、何らかの代償が必要なものなのです。

弊社の新入社員研修の中では、一定以上の練習をしなければ合格しない「基本動作」というものを取り入れています。
要領をかまして、頭で理解しただけでは、決して合格できないものになっています。
不合格の時、悪態をつく人もいれば、笑ってしまう人や本当に残念そうにする人もいます。
このうち、悪態をつく人が「運や要領」で人生が決まると思っている人だと私は思っています。
合格する人はしっかり練習してきていますので、その人たちと比べて自分がやってきてないことは良く分かっているのです。
ところが、それでも要領よく受かると思ってテストに臨み、不合格になると、自分自身に「反省の矛先」は向かず、
「できていたのに、たまたまできなかった」
「回りがうるさかった」等、
他に原因を求めるのだと思います。

横一線でスタート切る新入社員、誰かが一歩抜け出した時に「あいつは要領がいい奴だなぁ」と考え、誰かがつまずくと「シメシメ、なんて運の悪い奴だ」と考える、
そういう心持は、おそらく成長の阻害要因になります。
このとき、いかに自分自身の言動に着目させるか、それが成長のカギになるのではないでしょうか。
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