ありがちなブラックバイトの実例

ブラックバイトであっても働きつづけてしまう学生がいる一方で、その働き方を当たり前のことだと捉えてしまっている企業があります。もちろん、「職場が忙しくてやむをえず……」の場合もあれば、「いつの間にか現場がそういう傾向を強めていった」場合もあるでしょう。

しかし、悪質なところでは、学生が一般的な社会の常識を知らないこと、社会経験を積んでいないこと、若いがゆえに“強く言えない”ことなどにつけこんで、法律違反の働き方を強要するケースもあります。

最近、学生たちから聞いたある例をご紹介しましょう。

塾講師のアルバイトで実際にあったケース
「私の勤務している塾では、時給が払われるのは授業時間だけ。それ以外の保護者との面談、塾の運営会議、テキスト作成の時間は時給が払われません。また自分が担当している生徒の成績が上がらなかった場合には、無給で補講を行うことを命じられます。『時給を払ってほしい』と伝えたら、『お前は生徒とお金とどっちが大切なんだ』と言われました。バイトを辞めたいと言っても、辞めさせてもらえません」

これは、学生に人気があるアルバイトの1つ“塾講師”で起きたケースです。

正当な賃金を支払わないのは、明らかな法律違反であるにもかかわらず、支払わない理由を「お金と生徒、どちらが大切か」という話にすりかえています。これは、世慣れない学生が相手だと侮り、強く言い返せないのをいいことに丸め込もうとしている悪質な例と言えるでしょう。

また、本人が「辞められない理由」を理解できていないのも問題です。まず、辞めさせない理由が不当なものであれば法律違反です。もし正当な理由があるなら、その旨を本人がわかるように説明しましょう。

学生たちを悩ませるブラックバイトのさまざまな実態

アルバイトに関する調査では、他にも似たようなケースが数多く挙がってきました。一部ではありますが、実際にあった学生たちの回答をそのままご紹介しましょう。

学生たちの声から明らかになったブラックバイトの実態
●シフトの希望無視

「私のアルバイト先では、あらかじめ希望して提出した日・時間を無視してシフトを組まれます。テスト前に休みたいと伝えても、認められません。14日連続で勤務することもありました」

●重い責任を負わされる
「バイトリーダーをやっています。店長の不在が多いため、店でトラブルがあると、授業中に店から自分のスマホに連絡があり、対応を迫られます。そのため、落ち着いて授業を聞くことができません」

●罰金を課される
私は派遣会社に登録していて、ホテルのパーティーや結婚式場でドリンクサービスをする仕事をしています。毎回、場所や時間が記載されたメールが前日に来るのですが、『確認しました』と伝えるメールを決まった時間に送らないと、授業中などの事情があっても給料が減らされます」

「ブラックバイト」と呼ばれないために

上の例は、もちろん一部の企業によるものであり、学生の身分を尊重し、きちんと労働基準法を守って雇用をしている優良な企業はたくさんあります。

しかし、企業も過酷な市場競争を勝ち抜くのに必死になるあまり、ついつい現場の雇用への配慮がおろそかになる恐れもあります。そこで、気がついたら「ブラックバイト」と呼ばれていた……ということがないよう、自社の雇用状況に法律違反がないかを再度確認するとともに、下記のチェックポイントをぜひ参考にしてください。

「ブラックバイト」にならないためのチェックポイント4つ
・学生は、「学業を優先すべき存在である」ことを理解する
・シフトを組む際は、学生と現場の双方が納得のいく形で決める
・労働内容や給与についてはきちんと書面にし、法令に沿った雇用契約を結ぶ
・契約を結ぶ際は、学生が納得してから結べるように、しっかりと内容を説明する


きちんとした形で雇用契約を結んでおくことは、企業にとってもトラブルが発生したときの助けとなります。また、学生が自分の仕事を理解するうえでも大切な要素です。ぜひ、学生を雇用する際は上記4点を再チェックしてみてください。

提供:インテリジェンス「an report」
http://weban.jp/contents/an_report/index.html
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