教えたかどうかは教え手には決められない

「教えることを科学する」
それでは、具体的にどういうことに配慮すれば、考えさせ、変化を生み出すことができるのか。教えるための7つの原則を見ていこう。

 まず「原則1:学習者を知る」。学習者の先行知識、先行経験によって、学習は促進されもするし、阻害されもする。皆さんは、研修を実施するとき、企画するとき、受講者をどこまで把握しているだろうか。事務局の方なら、講師に受講者の情報をどこまで伝えているだろうか。たとえば、研修内容と関連する知識・経験、これまでの研修受講歴、通常の業務内容・業務負荷量、研修を受講する経緯、目的意識・取り組む姿勢など、チェックポイントがいろいろある。ほかにも、受講者のなかで誰がムードメーカーかなどが事前にわかれば、座席表、グループの構成を工夫できるし、深いファシリテーションもできる。ファシリテーション技術などの手法をいくら鍛えても、学習者が見えていないと効果的に使えない。学習者理解は教えることの根本だ。

 次に「原則2:学習内容の構造を示す」。伝える知識をどの程度構造化できているかが、学習や学習内容を実践することに強い影響を与える。したがって、パワーポイントの教材を作るときは、まず教える知識を大項目→中項目→小項目というように構造化して「こういうことを学ぶ」と示す。そして、その構造を何度も繰り返し、最後のまとめで再び構造を示す。皆さんのパワーポイントの教材には「構造」があるだろうか?

学習者を考えさせ、変化させるために何に配慮すればいい...

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