1990年の社会IT革命から21世紀の扉が開く
「三つの波」の次に、20世紀型社会から21世紀型社会への転換を考えてみたいと思います。20世紀は戦争と産業革命の時代でした。産業革命は、大量生産と規格・スタンダード化によって発展し、輸送のために交通網が発達しました。テレビや冷蔵庫などはだいたい規格が決まっているので、大量生産しやすかったのです。そして日本が20世紀の産業革命の最大の成功者でした。
日本の大企業の特徴は、年功序列、終身雇用、新卒一括大量採用、企業内組合、国内重視、タテ型構造と言われますが、これらは大量生産に適していたのです。
ところが1990年ころに社会IT革命が起こり、21世紀への大転換が始まります。1990年は歴史的に重要な年であり、世界では東西冷戦が終わり、アメリカでは軍事を支えていた優秀な技術者がIT分野に進出して活躍しました。
日本では1990年を境に人口増加が止まり、同時に農村部から都市部への人口移動がなくなりました。
そしてこのころにIT革命が起こり、最初のアプリケーションが金融でした。IT革命とほぼ同時に金融革命が起こったのです。この金融革命は世界の金融を加熱させましたが、1997年にはアジア通貨危機が世界金融恐慌を引き起こしました。このアジア通貨危機は韓国の目を覚まさせ、工業立国の道をひた走るようになりました。