経済産業省 産業人材政策担当 奈須野 太 氏
失業なき円滑な労働移動の実現に向けて。成長戦略を支える人材戦略はいかにあるべきかということで、現在、産業競争力会議などを中心に、安倍政権で検討されている人材戦略の動向について、その根幹を4つに整理した。
1つめが「失業なき円滑な労働移動の実現」。成熟産業で十分活用できていない人材を、なるべく失業することなく、成長産業に移すために、4つの取組みを行なっている。
ハローワークのリソースを民間でも活用できるようにする改革。雇用調整助成金やトライアル雇用奨励金の改革。若年者等の自発的なキャリアアップを支援する仕組みの拡充。バブル期入社のミドル層を成熟産業から成長産業に移すために、民間の人材業界の方と多様な「人活」支援に向けて実証実験を行う。この4つが、失業なき労働移動の実現に向けて考えている項目である。
次に、生産性を向上させるには人材スキルの向上が必要ということで、大学自身も人材を流動化させる「国立大学改革」。海外現地法人で学生のインターンシップを行うグローバル人材の育成。理系のイノベーション人材育成に向けた取組。優秀な外国人を確保し、国際的な人材獲得競争に負けないようにする制度改善などを実施する。
3つめが「キャリア教育の推進」。就職活動の後ろ倒しに対応して、大学在学中に企業を知る機会を充実させる。それに向けてインターシップの拡充、社会人基礎力の普及、キャリア教育推進連携シンポジウム等を行う。
最後に、成長戦略の中核ともいえる「女性活躍の推進」。育児休業3年、待機児童ゼロめざし、企業における環境整備の働きかけと職場復帰支援。再就職に向けた主婦向けのインターシップ。企業の女性活躍における優れた取組みを「見える化」する。ダイバーシティ経営企業100選・なでしこ銘柄の選定などの取組みを行っている。
トピック的ではあるが、成長戦略の中でも人材関係のお話しをさせて頂いた。