正しいゴールさえ示せれば、ほとんどの問題は解決していく

日本企業に求められているのは、実行サイクルのスピードを上げ適材適所で勝てる組織をつくること
八木 GEではジャック・ウェルチが「リーダーは4つのEを持つ必要がある」と語っています。当初は「Energy(仕事を成し遂げる熱意)」「Energize(周囲を元気づける)」「Edge(困難な問題にも決断を下す)」の3つだったのですが、3つを行動に移す力がなければ何も生まれないと考えて、Execute(実行力)」を付け加えたと聞いています。

竹村 GEはシックスシグマを実践していますので、実行が組織文化として根付いているところがあるのかなと思いますが。

八木 実は、GEの経営というのは難しいものではないんです。シックスシグマに関して言えば、私はGEでHealthcare Asiaにいた時、ブラックベルトのさらに上のクオリティリーダーをやっていました。ただ、シックスシグマは難しいので、コンセプトを導入するくらいならいいのですが、実行という観点から言えば、普通の社員が楽しんでやれるくらいのものの方がいいですね。シックスシグマの実践を通して学んだことは、組織は正しいゴールさえ示せば、それだけでかなり改善は達成されるということです。“first things first(大事なことを第一にしておこう)”で、問題のほとんどは解決するのです。

竹村 『7つの習慣®』で言えば、「大きな石を先に入れる」ということですね。

八木 翻って日本企業は当たり前のことができていません。ある会社の役員なんて、「部下のコーチングは人事がガイドラインを作ってくれないとできない」なんて言うんですからね。

『実行の4つの規律』の成り立ちに関するお話の後は、いよいよ、日本人の特徴に触れながら、なぜ当たり前のことが当たり前にできないのか、その心理的ハードルの秘密に迫っていきます。八木氏の言う「ハートを入れる」とは、いったいどういうことなのでしょう? 続きをご覧ください。


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