重要な点は、マイナンバーとそれに紐づけられた氏名や従業員番号などの情報が「特定個人情報」となり、取り扱いには個人情報保護法よりも厳格な保護措置が設けられていること。漏えいした場合は刑事罰が科せられる場合がある。企業には、制度スタートまでにマイナンバーに対応した人事・給与などのシステム開発・改修、マイナンバーを適切に扱うための研修や社内規定づくりなどを行うことが求められているが、対応が進んでいない企業も多いのが現状である。
しかし、企業の関心度は高く、HR総研のアンケート調査でマイナンバー制度導入についての不安事項を選択式で聞いたところ、すべての項目でスコアが高かった。特に「マイナンバーの取り扱いに関するセキュリティ」、「マイナンバーの取り扱いに関する運用方法」は5割超である。
中でも重要度の高いシステム開発・調整について方針を聞くと、「現在の人事システムをベースに『自社』でカスタマイズ」するという回答が34%と最多。「現在の人事システムをベースに『他社』でカスタマイズ」(26%)、「現在の人事システムと組み合わせて活用できるマイナンバー対応パッケージの導入」(21%)、「新たな人事システムパッケージの導入(リプレイス)」(19%)という回答がそれに続いている(図表2参照)。
企業向けのマイナンバー対応ソリューションはさまざまなものが提供されており、利用中の人事給与システムが自社開発でもパッケージでもOKなアドオンタイプや、システムだけでなく、マイナンバー管理業務そのもののアウトソーシングを請け負う支援サービス会社もある。
そのほか、研修に関しては、マイナンバーの取り扱い方法などを学べるe-ラーニングプログラムも提供されており、低コストで全従業員に教育を実施できる。必要に応じてこうした支援サービスを活用し、マイナンバー制度対応に向けて万全の準備を行いたい。