「多くの先輩と幅広く付き合うより、特定の先輩と親密になる方が得である」という設問の解答傾向は次のようになっています。
そう思う 7.8%
わからない 21.2%
そう思わない 70.9%
そう思う 7.8%
わからない 21.2%
そう思わない 70.9%
新入社員の段階では、多くの人と接することで、より広い視野を持ち、成長することが重要との意識から、この設問は作られています。おおむね、7割の新入社員はそのことを自覚しているようです。
この設問の解答傾向ですが、「そう思わない」という、「多くの先輩と幅広く付き合う」方を選んだ人は2003年の68.9%から2013年の74.9まで、上昇傾向を続けていましたが、20141年、2015年と70.9%まで下がりました。
この設問、男女差が比較的大きい設問でもあり、「そう思わない=幅広く付き合う」と答えた率は男性66.4%に対して女性は77.4%となっています。子供の頃、男の子は多数で群れて遊び、女の子は二人組になる傾向があったように思うのですが、「企業人意識調査」では反対の意識傾向になっているということです。設問にあえて「企業では」と入れていませんので、広く人間関係全般で質問しているのですが。
もっとも、近年は広く群れるような人間関係を構築する若者が多いように感じます。大学生のSNSのLINEの利用率は96%を超えているとの報道もあります。10代の若者では、TwitterやLINEの利用率は非常に高く、「直接会ったことのない、SNSつながりの友人」というものを多数、持っているようです。「リアルな世界」では、趣味のLINEで知り合った人と一緒にライブに行くなど、中学生くらいからそのようなつながりを持っており、果てしなく広がる人間関係を楽しんでいるようにも思えます。
一方で、「既読スルー問題」などもあり、一度作った関係を清算することができずに悩んでいる学生も多いとか・・・
どうも人間関係に対する価値観は、この10年、20年で大きく変わっていると思われます。その文脈で、この設問の回答傾向の変化を考えると、どうなるでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「若者の人間関係は希薄化している」という論調もありますが、これは正鵠を得ていないと私は思います。必ずしも、希薄化を望んでいるわけではないですし、希薄になっているわけでもないと思うのです。
むしろ、年齢が上がると、それはそれで、お互いの生活も確立し、そこに深く入ろうとはしませんし、忙しさにかまけて、学生時代には濃い関係だった友人とも、それなりに疎遠になります。それこそ、冠婚葬祭が絡まないと、ほとんど会わない、連絡も取らないという状態に陥ります。また、一方で、若者がネット上で結びつき、盛り上がるように、その辺の一杯飲み屋に一人で行っても、その場の見知らぬ人と会話を弾ませる術も持つようになります。
実際のところ、「薄い人間関係」は年齢が上がるほどその保有数を増すのではありませんか(年賀状だけつながりとか)。
若者は、つながる手段を多く持つため、「広く、浅く」つながることもできますが、その中から、彼らなりに選択することを覚えたのではないかと考えます。ここに価値観(帰属観とでもいいますか)の転換があります。
かつては、広くつながる手段などありませんから、「地域の仲間」や「学校の仲間」等、出会った仲間を大事にしないと他に「自分がいられる世界」がなくなってしまったわけです。その習性から、企業内でもその所属する部門内のつながりを妙に大事にするようになっていたのが我々、年配層ではないでしょうか。一方、若年層はそこから脱して、新たな手段を持っていますので、「自分がいられる世界」を容易に選択、自ら設定、あるいは変更することを覚えたのではないかと思うのです。つまり、「居心地の良いところを選べる状態」が常に存在しているわけです。
「LINE疲れ」という言葉もあります。グループを抜けるのは、彼らとて怖いのです。が、次のグループへの参加は容易であることを悟ってきたのが、この数年ではないかと私は考えています。つまり、嫌になったら、所属するグループを変更し、そこに改めてどっぷりつかることで帰属欲求を満足させるのです。彼らのもうひとつ前の世代はこのことを知らないので、とりあえず、多くのグループに参加しておくことを目指ていたのではないかと考えます(ケータイからスマホへの移行が、この変化に関係しているような気がしてなりません)。
ここから、「そう思わない=広い範囲の人と付き合う」を選ぶ人が減ったのではないかと。これから数年は、この設問は、「そう思わない」が減るという回答傾向が続く、と予言します(当たるかなぁ)。
では、そんな彼らを放っておいていいか?というと、それは別の問題。仕事をする以上、社内の人間関係は重要です。彼らに、社内のリアルな関係の重要性は悟らせねばなりません。「同じ趣味の人たちの集まり」でなく、「異なった価値観の人の集まり」でうまくやっていくコツを教えねばなりません。「実」を取る傾向も強いので、社内の人間関係でのメリット感は重要です。ただ、過去のように「べったり、ねっとり」という関係構築は無理でしょう。毎日飲みにつれていくなど、パワハラ扱いされるのがオチです。
あくまで「仕事の上の関係」を濃く構築する、そのための手段を効率的に講じるべきです。
この設問の解答傾向ですが、「そう思わない」という、「多くの先輩と幅広く付き合う」方を選んだ人は2003年の68.9%から2013年の74.9まで、上昇傾向を続けていましたが、20141年、2015年と70.9%まで下がりました。
この設問、男女差が比較的大きい設問でもあり、「そう思わない=幅広く付き合う」と答えた率は男性66.4%に対して女性は77.4%となっています。子供の頃、男の子は多数で群れて遊び、女の子は二人組になる傾向があったように思うのですが、「企業人意識調査」では反対の意識傾向になっているということです。設問にあえて「企業では」と入れていませんので、広く人間関係全般で質問しているのですが。
もっとも、近年は広く群れるような人間関係を構築する若者が多いように感じます。大学生のSNSのLINEの利用率は96%を超えているとの報道もあります。10代の若者では、TwitterやLINEの利用率は非常に高く、「直接会ったことのない、SNSつながりの友人」というものを多数、持っているようです。「リアルな世界」では、趣味のLINEで知り合った人と一緒にライブに行くなど、中学生くらいからそのようなつながりを持っており、果てしなく広がる人間関係を楽しんでいるようにも思えます。
一方で、「既読スルー問題」などもあり、一度作った関係を清算することができずに悩んでいる学生も多いとか・・・
どうも人間関係に対する価値観は、この10年、20年で大きく変わっていると思われます。その文脈で、この設問の回答傾向の変化を考えると、どうなるでしょうか。
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「若者の人間関係は希薄化している」という論調もありますが、これは正鵠を得ていないと私は思います。必ずしも、希薄化を望んでいるわけではないですし、希薄になっているわけでもないと思うのです。
むしろ、年齢が上がると、それはそれで、お互いの生活も確立し、そこに深く入ろうとはしませんし、忙しさにかまけて、学生時代には濃い関係だった友人とも、それなりに疎遠になります。それこそ、冠婚葬祭が絡まないと、ほとんど会わない、連絡も取らないという状態に陥ります。また、一方で、若者がネット上で結びつき、盛り上がるように、その辺の一杯飲み屋に一人で行っても、その場の見知らぬ人と会話を弾ませる術も持つようになります。
実際のところ、「薄い人間関係」は年齢が上がるほどその保有数を増すのではありませんか(年賀状だけつながりとか)。
若者は、つながる手段を多く持つため、「広く、浅く」つながることもできますが、その中から、彼らなりに選択することを覚えたのではないかと考えます。ここに価値観(帰属観とでもいいますか)の転換があります。
かつては、広くつながる手段などありませんから、「地域の仲間」や「学校の仲間」等、出会った仲間を大事にしないと他に「自分がいられる世界」がなくなってしまったわけです。その習性から、企業内でもその所属する部門内のつながりを妙に大事にするようになっていたのが我々、年配層ではないでしょうか。一方、若年層はそこから脱して、新たな手段を持っていますので、「自分がいられる世界」を容易に選択、自ら設定、あるいは変更することを覚えたのではないかと思うのです。つまり、「居心地の良いところを選べる状態」が常に存在しているわけです。
「LINE疲れ」という言葉もあります。グループを抜けるのは、彼らとて怖いのです。が、次のグループへの参加は容易であることを悟ってきたのが、この数年ではないかと私は考えています。つまり、嫌になったら、所属するグループを変更し、そこに改めてどっぷりつかることで帰属欲求を満足させるのです。彼らのもうひとつ前の世代はこのことを知らないので、とりあえず、多くのグループに参加しておくことを目指ていたのではないかと考えます(ケータイからスマホへの移行が、この変化に関係しているような気がしてなりません)。
ここから、「そう思わない=広い範囲の人と付き合う」を選ぶ人が減ったのではないかと。これから数年は、この設問は、「そう思わない」が減るという回答傾向が続く、と予言します(当たるかなぁ)。
では、そんな彼らを放っておいていいか?というと、それは別の問題。仕事をする以上、社内の人間関係は重要です。彼らに、社内のリアルな関係の重要性は悟らせねばなりません。「同じ趣味の人たちの集まり」でなく、「異なった価値観の人の集まり」でうまくやっていくコツを教えねばなりません。「実」を取る傾向も強いので、社内の人間関係でのメリット感は重要です。ただ、過去のように「べったり、ねっとり」という関係構築は無理でしょう。毎日飲みにつれていくなど、パワハラ扱いされるのがオチです。
あくまで「仕事の上の関係」を濃く構築する、そのための手段を効率的に講じるべきです。
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