「世代による考え方の差」という話を展開すると、「そんなこと言ったって、あなたの若い時も、上から色々いわれたわけで、同じじゃないの」という意見に必ず出くわします。
それは、確かにその通り。そんな話の延長線上で、「紀元前18世紀頃のヒッタイト王国(現在のトルコあたり)の粘土板で作られた書簡に「最近の若い者は・・・」といった現状を嘆くことばが書かれてある」とか、プラトンが同様のことを嘆いていたとかいう話を始める人が出てくるわけです。
つまりは、いつの時代も、世代間のギャップは存在し、若者の言動を嘆くのが、年配者の「役割」ということなだけで、これはおそらく、永遠に変わりません。

根っこのところで、「世代論」は「保守的な人間の側面」から出てくるものであると思います。
「若者の新しい考え方、ファッション、嗜好を受け入れている」のであれば、こんな話にはなりません。
「それは、変えてもらっちゃ、困るんだよね」という意識があるので、「世代論」を語り、「若い者はだめだ」といいたいだけのことだろうと思います。

さて、「世代による考え方の差」に関して、弊社の意識調査では「上役と若い部下が断絶(だんぜつ)状態になる場合は、世代のギャップだからという認識も必要である」という設問で聞いています。

そう思う   24.4%
わからない  21.8%
そう思わない 53.8%


「話が通じにくい」とか「価値観が違うから、ちょっと大変」というのではなく、「断絶状態」というかなりハードルを上げた質問ですから、半数以上は、「世代間のギャップで断絶はしない」と答えています。
それでも、1/4の新入社員は「まぁ、断絶状態になるのも仕方ないよね」と思っているわけで、これは、結構な問題だといえます。
「カラオケで選ぶ歌が違う」ということで世代間ギャップを感じるくらいなら、どうでもよいのですが。

ちなみに、この設問、2001年から2010年ころまで、「そう思う=断絶する」という率が徐々に減り、20%を切りましたが、その後、徐々に「そう思う」が息を吹き返し、24.4%まで増えてきました。
つまり、若者が近年、世代間ギャップを相当感じるようになってきた、不安を感じているのではないかと推察できます。

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新入社員は入社前には、先輩社員や上司、会社に対して漠とした不安はもっていると思います。その状態のまま置いておくと、「人間関係による離職」につながるのではないかと思われます。

「平成21年 若年者雇用実態調査結果の概況」で離職理由の上位は、下記のようでした。
・仕事が自分に合わない 24.5%
・労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった 23.8%
・賃金の条件がよくなかったが20.9%
・人間関係がよくなかった 20.1%


「平成25年 若年者雇用実態調査の概況」でどうかわったかというと、
・労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった 22.2%
・人間関係がよくなかった 19.6%
・仕事が自分に合わない 18.8%
・賃金の条件がよくなかった 18.0%

と順位が入れ替わっています。
パーセンテージは少なくなっていますが、「人間関係」を離職理由にする順位が上がっていることからも、職場での関係に悩んでいると推察されます(パーセンテージが減少したのは、25年調査での離職理由の選択肢が増えたためと推察されます)。

そのため、企業の側は、人間関係をよくするため、コミュニケーションの強化が対策の主軸に据えることになります。この調査で、「若年正社員、正社員以外の若年労働者それぞれで定着のための対策」を取っている事業所のうち、
59.2%の事業所が「職場での意思疎通の向上」のための施策を打っていると答えています。
つまりは、あらゆるところで「世代間ギャップ」によるコミュニケーション不足が課題になり、そのために「運動会をする」、「メンターを置いて相談に乗る」、「指導員を強化する」、「近い世代の先輩がいるところに配属する」等の手段が取られているのではないでしょうか。
おそらく、キーになるのは「その若者の意見や変化を受け入れて活用する」視点だと思います。ここができれば、ギャップは少なからず改善すると思います。ぜひ、若者の価値観を体験してください。
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