前回は、厚生年金基金の財政状況の見極め方のポイントをいくつか説明いたしました。
今回は最終回として、厚生年金基金に加入している企業の今後の対応についてお話しいたします。
今回は最終回として、厚生年金基金に加入している企業の今後の対応についてお話しいたします。
厚生年金基金の選択肢
基金の今後の選択肢としては、基金側が主になって動く「存続」「代行返上」「解散」と、加入企業側が主になって動く「脱退」の4つがあげられます。基金に加入している企業は、基金の動向や財政状況、自社の状況などを踏まえて、今後どのように対応していくかを考える必要があります。基金解散後の対応
基金が解散した場合は、厚生年金基金を退職金制度の枠内(内枠)に位置付けてあるのか、退職金制度の枠外(外枠)に位置付けてあるのかによって、解散後の対応方法を考えなければなりません。
厚生年金基金が内枠方式の場合は、退職金債務として残額を法的に支払う義務が発生するため、代替措置を設ける必要があります。外枠方式の場合は、基金の給付が退職金そのものではないため、法的に給付の支払い義務はありませんが、福利厚生の消滅による従業員のモチベーション低下などを考えると何らかの代替措置を設けるのが適切だといえます。
内枠方式の場合:確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)、中小企業退職金共済へ移行するか自社で生命保険などを活用する。
外枠方式の場合:内枠方式と同じスキームを利用するか、自社で定期昇給率アップやベースアップなどの代替措置を実施する。
内枠方式の場合:確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)、中小企業退職金共済へ移行するか自社で生命保険などを活用する。
外枠方式の場合:内枠方式と同じスキームを利用するか、自社で定期昇給率アップやベースアップなどの代替措置を実施する。
今後、厚生年金基金の多くは、解散することが予想されているため、厚生年金基金に加入している企業は、基金の代替措置を何にするかを、メリット・デメリットを理解した上で、会社に適したものを選択する必要があります。自社で判断が難しい場合は、専門家に相談して客観的な意見を求めることも検討してはいかがでしょうか。
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