前回は、昨年法改正のあった厚生年金保険法の厚生年金基金に関する改正点についてまとめて説明をいたしました。今回は、厚生年金基金の財政状況等の見極め方についてお話しいたします。
厚生年金基金の見極め方
厚生年金基金の財政状況等を見極める方法はいくつかありますが、今回は代表的な以下の指標について説明していきます。いずれの指標も基金だよりや基金のホームページで確認することになります。①成熟度(加入員比)
②損益計算書
③貸借対照表
④積立水準
<成熟度(加入員比)>
成熟度(加入員比)については、厚生年金基金の加入員数に対して、年金受給者数の割合がどれくらいであるかを示す指標であり、下記計算式により求められます。
計算式:年金受給者数÷加入員数×100
現在の厚生年金基金全体の平均成熟度は約70%でありますが、個別に見ると成熟度が100%を超えている基金もあります。つまり、100%を超えている状態は、厚生年金基金に加入している人の数より年金を受給している人の数の方が多い状態であり、リスクが高いという見方ができます。
<損益計算書>
損益計算書では、年間の掛金等収入と給付費の収支バランスを確認します。単純に、給付費が掛金等収入を上回っているのは、収支が赤字の状態であるという見方ができます。
<貸借対照表>
貸借対照表では、給付債務と現在まで基金に積み立てられた資産の財務バランスを確認します。重要なポイントは、資産が最低責任準備金を上回っているかどうかという点です。上回っていない=代行割れをしており、危険な状態であるという見方ができます。
<積立水準>
貸借対照表と似たような見方になりますが、基金だより等を見ると厚生年金基金の積立水準が記載されている場合もあり、そちらの数値から厚生年金基金の状態が、①健全な基金、②代行割れ予備軍の基金、③代行割れ基金のどれにあたるのを確認することができます。
数値が1.0~1.5未満の場合は、要警戒な状態であり、数値が1.0未満の場合は、
危険な状態であるという見方ができます。
厚生年金基金に加入している企業は、今回説明したポイントで自社の加入している基金を分析し、今後の対応を考えなければなりません。例えば、代行割れしているような基金ですと、解散時に特別掛金が発生するため、資金準備などを考える必要があります。また、基金が解散した場合は、代替措置を設けるのかどうかなども検討が必要になります。
次回以降の連載では、厚生年金基金に加入している企業がどのような対応をとっていくべきかについてお話ししていきます。
※用語説明
次回以降の連載では、厚生年金基金に加入している企業がどのような対応をとっていくべきかについてお話ししていきます。
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