お越しになり、1時間程度の講話をされていました。
時には、研修所ですき焼きを振舞ったりして、社員との交流をされていました。
すき焼きを振舞われていても、社員はにこやかに本音を語るということはなく、いかに無難にその場を過ごすかしか考えていない様子でした。
その社長の講話の中で、いかに自分が働いているかをスケジュール帳を示しながら話されることがありました。
それはすさまじいスケジュールで、1年間、1月1日以外は、すべて仕事をしていたのを記憶しています。全国にある100か所以上ある営業所を1年に1回は訪問し、行けば行ったで営業担当者とお取引先にも1日何件も回るのです。
「オーナー社長って、すごいなぁ」
「私生活、ないじゃない。ああはなれない、なりたくない」
というように思ったことを覚えています。
しかし、そのオーナー社長が「人間らしい生き方をしていない」かというと、そんなことはなく、「会社そのものが生きがいであり、生活そのもの」なので、毎日仕事をしていても「それが自分の時間」という感覚だったのだと思います。
新入社員の段階では、「私生活と仕事は別もの」というのがおそらく普通の感覚です。
仕事そのものは、やりがいのあるもの、楽しくできそうなものを選ぼうとするでしょうが、それと私生活は連動して考えていません。
おそらく、世の中のサラリーマンの半数以上は実際のところ別物と考えているのではないかと私は思っています。
そこまで言っていいのか?と思われるかもしれませんが、次のような意識調査の結果を得ているので、半数でもよく言い過ぎではないかと思っているくらいです。
「仕事も大切だがむしろ私生活を大事にしたほうが、人間らしい生き方ができる」
という設問の新入社員と一部上場企業の20代後半~30代後半の「指導員」と呼ばれる新入社員を指導する人たち(63人)の回答傾向は次のようになっています
新入社員 指導員
そう思う 52.7% 85.7%
わからない 24.3% 0%
そう思わない 23.0% 14.3%
この指導員は、「現業」と呼ばれる技術・技能職であるというデータ上の偏りはありますが、そこを考慮しても「私生活=人間らしい生活」という図式は、かなり強いようです。
先のオーナー社長がこの結果を知ったら、どう思うでしょうか・・・。