昔の会社では、「上司と部下は親子も同然、私生活まで面倒を見る」という「徒弟制度的志向」が強く、「企業は共同体」という意識が強くありました。
企業内に学校があったり、そうでなくとも、先輩社員が後輩の勉強の面倒まで見る制度があったりしました。
寮生活も普通で、公私ともに行動を共にする風土があったと思います。
今は、そこまで表立って「徒弟制度」や「共同体」を前面に出す企業はあまり聞きません。
テレビで有名になった横浜の有限会社秋山木工であるとか、企業ではありませんが、相撲部屋であるとか、本当にそこまでやる組織は少数となりました。
(大手企業で寮が復活している、という報道もありますが)

今は、そこまで表立って「徒弟制度」や「共同体」を前面に出す企業はあまり聞きません。
テレビで有名「共同体的付き合い」を求めている新卒は今では希少ではないでしょうか。
自分の生活を維持しつつ、可能な限りプライドや「個性と信じているもの」を生かし、
「自己実現したい」等と考えて、企業に属そうと考えているのだと思います。
また、よりドライな経営を志向する企業経営者も多いと思います。
そういう企業では、「成果主義」や「自己責任」という資本主義の根本にある
概念を重視しているのだと思います。
「成果主義」や「自己責任」というものと、共同体意識は表面上、
相容れないところも多いと思われます。
この何十年間の間(いつからでしょうか?)に、「成果主義」や「自己責任」の概念の
強化、浸透とともに、共同体意識は衰退していったのだと感じています。

さて、そのような中で、企業内の人間関係を問う設問である「上役との関係は仕事上のつながりである。したがって、仕事以外の付き合いはできるだけ避けた方がよい」の回答傾向は、次のようになっています。

そう思う    3.5%
わからない  10.2%
そう思わない 86.3%

この設問、「そう思わない=仕事以外のつきあいは避けない」と答える率が2006年の81.5%を最低に、2013年度の86.3%までこの12年間、上昇傾向にあります。

このデータだけ見ると、私の想定とは違い、新卒社員は、もっと人間的な付き合いを、「共同体的な付き合い」をしたい、と考えているようです。

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