「キャベツが高騰して1玉300円になったときに、お店では、普段、仕入れ値の約二倍で売っているので、600円で売ろうとした部下がいた。
その発想だと、50円で仕入れたら、100円で売って50円の粗利にしかならないが、高騰すれば1個で300円の粗利を出すことになる。
そうではなくて、300円なら330円くらいに抑えて販売するうではなくて、300円なら330円くらいに抑えて販売する、いや、それより250円くらいで売って損をしてでもお客様が買いやすい価格で提供する、それが信頼を生むんだと指導した」
その発想だと、50円で仕入れたら、100円で売って50円の粗利にしかならないが、高騰すれば1個で300円の粗利を出すことになる。
そうではなくて、300円なら330円くらいに抑えて販売するうではなくて、300円なら330円くらいに抑えて販売する、いや、それより250円くらいで売って損をしてでもお客様が買いやすい価格で提供する、それが信頼を生むんだと指導した」
もう15年ほど前になりますが、大田市場の中卸の社長から聞いた話です。
(販売できる個数からすると、600円で売ったとしても総利益はたいして増えない、という話は抜きで・・・)
その中卸は中卸でありながら、都内の百貨店の地下に青果店を持っていました。
百貨店の地下ですから、品質の高いものをそれなりの価格で売ることが可能だったからこのような「高い粗利を得られる」ような話があったのかもしれません。
が、実際、青果販売というのは、我々消費者が考えるよりも卸値の乱高下が激しく、適正価格で提供し続けることは、難しい商売のようで、あるときは儲かり、あるときは、損をして売るのが当たり前の世界のようです。
通常の商売は、暴利ではなく、適正な利益で販売するからこそ、信頼を得られるものです。
当たり前の話ですが、この思考は、広く商売人の中に根付いたものではないでしょうか。
近江商人の哲学の一つに、「利真於勤」というものがあります。
これは、利益というものは、懸命に仕事で努力した結果えられるものであり、品薄に乗じて買い占めるとか、権力と結びついて儲けることを諌める言葉です。
「三方よし」という言葉もあります。売り手、買い手、そして世間によし、というのが商売の基本だというのです。
近江商人は、景気が良いときは質素に、景気が悪いときは家を建て替えるなどお金をどんどん使うといわれています。
利益というものは、世間から頂戴し、それをまた世間に還元すべきもの。
そういう思考は、江戸時代の商人に根付いていて、それが今も日本の商売人の中に生きているのではないかと思います。
さて、「会社はその利益を蓄積するよりは、むしろ全部を経営者、出資者、従業員に分配すべきである」という設問に対する回答傾向は、次のようになっています。
そう思う 16.6%
わからない 24.3%
そう思わない 59.1%
2005年に「そう思わない」が52.3%を記録したところが最低で、2011年の59.3%が最高となっており、わずかですが、やや正答率が高くなる傾向にあるようです。
かつての弊社の入社試験では、「金儲けは善である」をテーマに作文を書かせたり、レクチャーをさせるというものがありました。
「金儲けは善」をきちんと説けないと弊社の社員としてはふさわしくない、ということです。
実際、新入社員研修をしていると、「そんなに利益を上げるなら、もっと安くお客様に提供すればいいのに」という思考の人を少なからず発見します。脱税や暴利をむさぼるかのような企業の実態が報道されることも多々あり、「企業は悪いことをして金儲けをする」「金儲けは悪いことじゃないか」という思考を持ってしまう人もいるでしょう。
社会貢献思考の強い昨今では、なおさらそう考えてしまうのかもしれません。
NPOのように、利益を追求しなくても存続し、社会に貢献できる組織があるではないかと考えても不思議ではありません。
おそらく、学校教育では「仕入れ値に手間賃をのせて販売する。その差が利益」などという初歩的な思考しか教えていないのだと思っています。
販売価格は、事業者ではなく、お客様に決定権がある、という思考が理解できていれば、利益に対する考え方も変わるはずなのですが、そういう教え方はしていないと思うのです。
いくら安くても、お客様が欲しくないものは売れないし、利益になりません。
「100円のコーラを1000円で売る方法」という本もありましたが、この中では、某ホテルでレモン入りのコーラをルームサービスしたその料金が1000円という事例。
その環境では、100円のコーラにお客様は1000円を支払うということです。
これが「お客様が価値を決める」ということだと思います。それだけの価値があるのです。
また企業はその利益から税金を払っていますが、法定実効税率は約40%といわれています。
企業が地域、国家を支えている側面は非常に強いものがあります。
それだけでも、利益を上げることの重要性は理解されるはずです。
さらには、企業は倒産の危険にいつもさらされています。
わずかの利益でも還元してしまい、将来のための再投資ができない、いざというときの手元資金もないとなると、倒産するのが企業です。
弊社のとあるお客様の社長は、その業界の先輩企業の社長から「5%の経常利益は必ず出すこと。そうでないと、これ以上、大きくはなれない」と何度も言われたそうです。
その業界は、熾烈な価格競争の嵐の中、5%もの経常利益を出しているところは、ほんの一握りなのですが、その利益がないと、体力的にもたないのだと思います。
つい数年前まで何百億円もの利益を上げていた会社が、為替の変動であっという間に赤字企業になってしまう、そういう現実もあります。
そこを考えれば、利益を確保し続けておくことがどれほどの保険になるかはわかると思います。
多くの場合、「金儲けは善」に対しては、「理性的納得」が取れれば変わることはできますので、しっかり指導していきましょう。
(販売できる個数からすると、600円で売ったとしても総利益はたいして増えない、という話は抜きで・・・)
その中卸は中卸でありながら、都内の百貨店の地下に青果店を持っていました。
百貨店の地下ですから、品質の高いものをそれなりの価格で売ることが可能だったからこのような「高い粗利を得られる」ような話があったのかもしれません。
が、実際、青果販売というのは、我々消費者が考えるよりも卸値の乱高下が激しく、適正価格で提供し続けることは、難しい商売のようで、あるときは儲かり、あるときは、損をして売るのが当たり前の世界のようです。
通常の商売は、暴利ではなく、適正な利益で販売するからこそ、信頼を得られるものです。
当たり前の話ですが、この思考は、広く商売人の中に根付いたものではないでしょうか。
近江商人の哲学の一つに、「利真於勤」というものがあります。
これは、利益というものは、懸命に仕事で努力した結果えられるものであり、品薄に乗じて買い占めるとか、権力と結びついて儲けることを諌める言葉です。
「三方よし」という言葉もあります。売り手、買い手、そして世間によし、というのが商売の基本だというのです。
近江商人は、景気が良いときは質素に、景気が悪いときは家を建て替えるなどお金をどんどん使うといわれています。
利益というものは、世間から頂戴し、それをまた世間に還元すべきもの。
そういう思考は、江戸時代の商人に根付いていて、それが今も日本の商売人の中に生きているのではないかと思います。
さて、「会社はその利益を蓄積するよりは、むしろ全部を経営者、出資者、従業員に分配すべきである」という設問に対する回答傾向は、次のようになっています。
そう思う 16.6%
わからない 24.3%
そう思わない 59.1%
2005年に「そう思わない」が52.3%を記録したところが最低で、2011年の59.3%が最高となっており、わずかですが、やや正答率が高くなる傾向にあるようです。
かつての弊社の入社試験では、「金儲けは善である」をテーマに作文を書かせたり、レクチャーをさせるというものがありました。
「金儲けは善」をきちんと説けないと弊社の社員としてはふさわしくない、ということです。
実際、新入社員研修をしていると、「そんなに利益を上げるなら、もっと安くお客様に提供すればいいのに」という思考の人を少なからず発見します。脱税や暴利をむさぼるかのような企業の実態が報道されることも多々あり、「企業は悪いことをして金儲けをする」「金儲けは悪いことじゃないか」という思考を持ってしまう人もいるでしょう。
社会貢献思考の強い昨今では、なおさらそう考えてしまうのかもしれません。
NPOのように、利益を追求しなくても存続し、社会に貢献できる組織があるではないかと考えても不思議ではありません。
おそらく、学校教育では「仕入れ値に手間賃をのせて販売する。その差が利益」などという初歩的な思考しか教えていないのだと思っています。
販売価格は、事業者ではなく、お客様に決定権がある、という思考が理解できていれば、利益に対する考え方も変わるはずなのですが、そういう教え方はしていないと思うのです。
いくら安くても、お客様が欲しくないものは売れないし、利益になりません。
「100円のコーラを1000円で売る方法」という本もありましたが、この中では、某ホテルでレモン入りのコーラをルームサービスしたその料金が1000円という事例。
その環境では、100円のコーラにお客様は1000円を支払うということです。
これが「お客様が価値を決める」ということだと思います。それだけの価値があるのです。
また企業はその利益から税金を払っていますが、法定実効税率は約40%といわれています。
企業が地域、国家を支えている側面は非常に強いものがあります。
それだけでも、利益を上げることの重要性は理解されるはずです。
さらには、企業は倒産の危険にいつもさらされています。
わずかの利益でも還元してしまい、将来のための再投資ができない、いざというときの手元資金もないとなると、倒産するのが企業です。
弊社のとあるお客様の社長は、その業界の先輩企業の社長から「5%の経常利益は必ず出すこと。そうでないと、これ以上、大きくはなれない」と何度も言われたそうです。
その業界は、熾烈な価格競争の嵐の中、5%もの経常利益を出しているところは、ほんの一握りなのですが、その利益がないと、体力的にもたないのだと思います。
つい数年前まで何百億円もの利益を上げていた会社が、為替の変動であっという間に赤字企業になってしまう、そういう現実もあります。
そこを考えれば、利益を確保し続けておくことがどれほどの保険になるかはわかると思います。
多くの場合、「金儲けは善」に対しては、「理性的納得」が取れれば変わることはできますので、しっかり指導していきましょう。
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