反対に、既存のコンテンツの再利用ができないようなモバイルソリューションを採用することは、非常にコストがかかります。具体的に言えば、コンテンツのないモバイルソリューションか、非常にコストがかかるコンテンツを作り直さなければならないかのどちらかという残念な結果になるでしょう。

効果的に既存のコンテンツを再利用することが出来るモバイルソリューションのためには、以下の3つの事に注意しなくてはなりません。

1．使用しているモバイルソリューションはSCORMといった現在のe-ラーニングコンテンツのスタンダードをサポートしているか？
もしコンテンツがSCORM対応ではなく、標準仕様をサポートしていなかった場合、再開発を強いられ、SCORMが提供するような標準のテスト能力やトラッキング能力を失うことになりかねません
2．モバイルソリューションは、現在のコンテンツ開発ツールをサポートしているか？
新しい開発ツールやスタンダードを必要とせず、コンテンツの再利用をすばやく行えることは、モバイルソリューションがいかに早く結果をだすことが出来るかという点において大きな違いとなってきます
3．モバイルソリューションはパッケージされたテンプレートやツールを、開発者がすぐに現状のコンテンツを入れ替えたり再利用したりできるように提供しているか？

ヒントその４：　中央管理型のレポート機能

モバイルラーニングイニシアチブの成功をビジネス上の目標として計測するという事は、モバイル学習者の受講履歴や、状況などを正確にレポートする能力を持ち合わせていることを意味します。レポートを必要としないモバイルラーニングソリューションを採用することは、プロジェクトの成功を測ることの妨げになりかねません。さらに重要なのは、データと学習者の現在のプロファイルの一元管理できる事です。この機能なしでは、組織は効果的で効率的ではなく、不完全な解決策として、複数のプロファイルや不完全なレポートのコピーによって融合するような事を任されることになります。この中央管理型のレポート機能はただ単にレポーティングするだけではなく、e-ラーニング内の他のデータとの統合を提供することとなり、それがモバイルラーニングソリューションを評価する上での重要なカギとなるのです。

現状のラーニングマネジメントシステムとレポーティングとを統合させることによるモバイルソリューションの利点は次の事です。

●中央集中型のレポート機能は、コースの達成具合とコース修了の様々な要素の追跡を可能にします。
また、この機能はソリューションのユーザー導入率やモバイルソリューションの利用度と同じように、必要とするレポートから価値ある判断と測定ができるようになります。
●モバイルラーニングのアクティビティと学習者の学習率とテストスコアの効果測定を可能にします。
モバイルラーニングの主要なパラメータは知識保有率です。モバイルでの授業からテストスコアの報告を提供するモバイルラーニングソリューションを持つことは、このパラメータの定量的な測定の提供も可能にします。
●モバイルラーニングとラーニングマネジメントシステムの統合と集中化は学習者の証明書や認定書といった、カギとなるラーニングレポートの容易なトラッキングが可能となります。
●一元化したレポートデータのソースは、従来のe-ラーニングとモバイルラーニングとの比較が容易ですから、モバイルラーニングの導入効果を上げ、必要な時間と場所において効果的にコンテンツを絞り込むことができるようになり、企業の経営層にとって重要な教育投資効果の指標データとなります。

ヒントその５：　アドミニストレーションの簡素化・安全化

モバイルソリューションを使いやすくする事は、最優先項目としてやらなければならないことです。

考慮すべき第一のポイントは、モバイルソリューションが、現在のラーニングソリューションと一体化が出来るかどうかを確認することです。このことは一元化された中央集中型管理を可能かとうかと言うことです。反対に、二つの異なったソリューション（モバイルラーニングと標準のe-ラーニング）の採用は、必要ない管理上のオーバーヘッドを生み、e-ラーニングソリューション全体において教育システム全体に渡ってギャップを生むことになります。

第2の考慮すべき点は、安全性です。これはモバイルラーニングの分野において非常に重要となります。なぜならモバイルデバイスは、失くしたり盗まれたりすることもあり、そのような事故の際に端末内部に保管されているe-ラーニングのコンテンツは安全なままであることが重要なのです。組織で使用しているモバイルデバイスに保存されているすべてのコンテンツが安全に保たれているということを確かにするために、モバイルソリューションはすべてのコンテンツを暗号化する必要があります。このことによって、もし重要なコンテンツをインストールしているモバイルデバイスを失くしたり盗難にあったりしても、情報の悪用を防ぐことができます。

モバイルソリューションが管理しやすく、安全かどうかを確認する際に確認すべき項目。

●モバイルソリューションは、現状のラーニングマネジメントシステム内での一元管理ができるか？このことは、ユーザーアカウント、コースの割り当て、一か所からのe-ラーニングとモバイルデバイスからの報告の集中管理を意味します。集中管理することで、どのユーザーがモバイルラーニングを使用しているかどうかを管理・追跡できるようになります。
●モバイルラーニングソリューションは、コンテンツの暗号化を行っているか？コンテンツの暗号化は、モバイルデバイスを万が一失くしたり盗まれたりしたとしても、ラーニングコンテンツの悪用を少なくすることができます。

まとめ

モバイルラーニングソリューションを成功させるためには、　ユーザーやアドミニストレータ、コンテンツのディベロッパーといったこのシステムの主要な関係者にとって使いやすく、魅力的でなくてはなりません。このことは組織が利用しているモバイルプラットフォームをサポートし、現在のLMSとスムーズに統合し、組織がすでに投資しているコンテンツの使用と延長できるようにするソリューションを選択することを意味します。

5つの効果的なモバイルラーニングソリューションの要約：

1．ユーザーエクスペリエンスを直感的でわかりやすくする
2．コンテンツを魅力的にする
3．既存のコンテンツの再利用
4．中央集中型のレポート機能
5．アドミニストレーションの簡素化・安全化