「社内では人間関係が大切だから、正しいことでも他人から悪く思われるようなことには、手を出さない方がよい」という設問の回答傾向は、次のようになっています。
そう思う   16.4%
わからない  23.6%
そう思わない 59.9%
人間関係と業績を天秤にかけているかのような設問ですが、「正しいことはやる」という人が6割と結構多いようです。
弊社の新入社員研修での二日目の朝、前日の反省会をしてもらいます。
初日には、グループの目標や規則を決めています。方針や目標の意味、ルールの重要性の話をしています。その上での反省会です。

そこでは、
・一日一人一回、手をあげる、というルールが達成していない。
・報連相の徹底ができていなかった。
・5分前に全員集合していなかった。
など、決めたルールが徹底されていないことが反省の材料となります。
このときのインストラクターからの指摘は、
 ・ルールを守るのは、何のためか?
 ・ルールを守っていない人をなぜ放置したのか?
ということです。


最近の新入社員は、お互いに「軽い関係」は結べますが、「いがみ合ってでも、業績を上げる」などということはめったにありません。
なので、隣の人が手を上げていないことを知っていても、注意しないのです。
ルールも「組織の業績を上げる」ということよりも、「私、やってますから」という言い逃れの材料にしか過ぎないこともよくあることです。


新入社員のこの段階で、企業の人間関係は、友達集団とは違う、ということをはっきりと意識させる必要があるのです。特に、技術・知識研修期間の長い企業では、ここのところを徹底しないと、学校の延長線上で、課題の提出物作成では競争しますが、企業人としての心根は理解できないまま研修期間を終え、あのときに一生懸命さは何だったのか?
ということになったりします。技術系企業に多いパターンですね。
そうやって、仲良し集団を作ってしまうわけです。
「ああ、楽しかった」というだけの新入社員研修にはしたくないですね。


「社内では人間関係が大切だから、正しいことでも他人から悪く思われるようなことには、手を出さない方がよい」という設問の回答傾向は、次のようになっています。
そう思う   16.4%
わからない  23.6%
そう思わない 59.9%
でした。


しかし、実感として、意識調査で示されている数字よりも、正しいことができる新入社員は少数しかいないように思うのです。孤高を貫くような「ハードボイルド」な若手社員は最近、絶滅したようです。


組織の中で、「正しいけれど、他人から悪く思われること」の種類は、
・組織の当たり前となってしまっている悪しき習慣や行動の改善
・見逃されているルール違反の是正
・人が手を出さない重大な案件の着手
というようなものでしょう。
このような、人の目を気にせず、正しいことをやり続ける、旧弊を打破するということが若い社員には求められるのですが、これは相当、難しくなってきているように感じます。


企業というのは、長期にわたる人間関係が基本です。
その中で、同僚や先輩から目をつけられるようなことをするのは、実際のところ大変難しいものです。
過去の遠因で、どんな人事(大げさに言えば粛清)が行われたか、
そんな伝説も老舗大手企業では、語り継がれていたりもします。
強い管理職、経営者の支持でもなければ、若手の行う改革というのはなかなか進みませんし、進んでも担当者が異動したり、支持した管理職や経営者が交替したりするとすぐに元に戻ってしまうのも、
これまた、現実でしょう。
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