昨年くらいから、「本格的なゆとり教育世代の登場」というわけで、さまざまな手を打っていらっしゃるところもあるかと思います。
弊社の新入社員研修での意識調査結果の変化を概観、変化している項目を「やや強引」に解釈させていただくと、


・自分のためというより、会社のために働く。好きでない仕事でも一生懸命、やる気をもってやらないといけない(そう言わないと、採用されないから)。
・会社にいれば、成長させてもらえる。
・コミュニケーションギャップは乗り越えられる。ちゃんとコミュニケーションは取れる。
・働き甲斐が欲しい。
・指示命令されるのは余り好きではない。

(詳細は弊社HPをご覧ください)
http://www.jecc-net.co.jp/information/jecc_information_detail.php?infoid=207
なんとなく、浮び上がるのは、「無難に一生懸命会社で働かないといけない。社内的には、コミュニケーションをちゃんととってやっていきますよ。言われたことはちゃんとやりますよ。でも、働き甲斐もくださいね」という感じでしょうか。微妙な受身加減と根拠のない自信、そつのなさが入り混じっています。

「ゆとり世代」の真の問題は、「個性尊重の名の下、『やりたいことだけをやればいい』と育てられてきたところにある」と立命館小学校副校長の陰山英男氏は指摘しています。結果として、「仲は良いけど、競争はしない」「うまくいく、いかないは、回り(運)次第」「自分には責任はない」というような風潮があると推察します。弊社意識調査の結果ともリンクしています。

個性重視という名の下での無競争で、鍛えられた個を持たないために、無個性になってしまうのかもしれません。以前と比べると、とんがった人材が少なくなったとは感じます。「草食系男子」などという名称も彼らゆとり世代の傾向を示しているかのようです。

若者の気質は2000年以上前から、「今の若者は…」と大人に嘆かれているわけで、今の変化が「とても大きな変化で、困っちゃう」というわけではありません。いつの時代も、それに対応してきているわけです。

では、これらの情報を頼りに、「ゆとり教育世代の新入社員」の育成留意点とはどんなものになるでしょうか?

以下、6項目を提案します。

(1)会社の経営理念や戦略・方針を理解させる。

「社会貢献」に敏感な世代です。昔のように「稼げるから、がんばれ」「車、欲しいだろ」という動機付けはほとんど通用しません。
「車、いらないっす、テレビもワンセグで十分っす」という新人が増えているのです。

では、どうやって、仕事に意欲をもたせるのか?というと、仕事こそ、社会貢献、やりがいの元、という意識を大切にしていくのです。彼らは、企業が「社会貢献」していることを十分には認識していません。いかに自分たちの組織がお役立ちをしているのか、そのための方針はどうなっているのか?ということを意識させることが重要です。

残念ながら、「日々の業務」と「社会的なお役立ち」を結び付けてイメージできる優秀な新人は多くいません。よくトップが「売り上げ100億円を目指すぞー」などと発破をかけたりしますが、これは「ほぼ、動機付けとは無縁」で、何の意味も持たないどころか、「売り上げ至上主義」を感じさせ、マイナス効果となること必至です。「100億円売り上げを上げる」ことが社会貢献だとは、ちーっとも思えないのです。
なので、どんな仕事でも、最終的に最前線でお客様にどう喜ばれているのかを体験させ、言い続け、理解させることが必要です。

(2)その仕事にどのような「意味・価値・メリット」があるかを理解させ、自ら考え行動することの重要性を伝える。

「人間は自ら納得した目標に対しては、自己統制してチャレンジしていくものだ」(P.ドラッカー)という言葉があります。意味を与えられるまでもなく、自ら意味を見出し、自らを動機付けて主体的に取り組むことを習慣化させていく必要があるのです。

会社の進む方向や戦略に理解を示し、その延長線上に「社会貢献」や「自己実現」があることがわかったとしても、ちょっと気を抜くと
「こんなはずじゃなかった」
「これは私の仕事じゃない」
などと考え始めてしまうのが新人です。

なので、「自ら考え、行動する」という習慣づけが重要になるわけです。そうでないと、管理者がつぶれてしまいます。
そのためには、最初は大変でも、



・作業、業務をさせるときには、ひとつずつ、意味を伝え、復唱させる。
・見守って、やらせる。
・その作業、業務のレベルアップをさせる。そのときは、失敗しても叱らない(同じ失敗を二回すると、そこからは、叱るんですよ)。
・成功、失敗にかかわらず、「成果」として認め、ここで、「考え、改善させ」、再度やらせる。
・条件を変えて、「考え、工夫させ」、やらせる。
・その先にある、社会貢献を明確に伝える。

「失敗は悪」の心が、ボトルネックで、そこをクリアすれば、ゆとり教育世代の多くの成長課題は、ほぼ、解決すると思います。

残りは、次回!(つづく)

(2011.11.14掲載)
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