講師
平松 浩樹 氏
富士通株式会社 執行役員常務 総務・人事本部長
1989年富士通株式会社に入社、主に営業部門やプロダクト部門などのビジネスパートナー人事を担当。2009年より役員人事の担当部長として、指名報酬委員会の立ち上げに参画。2015年より営業部門の人事部長として、営業部門の働き方改革を推進。2018年より人事本部人事部長、2019年より現職。ジョブ型人事制度、ニューノーマル時代の働き方・オフィス改革に取り組んでいる。
楠田 祐 氏
HRエグゼクティブコンソーシアム 代表
NECなどエレクトロニクス関連企業3社を経験した後、ベンチャー企業を10年間社長として経営。中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)客員教授を7年経験した後、2017年4月より現職。2009年より年間数百社の人事部門を毎年訪問。人事部門の役割と人事のキャリアについて研究している。2016年より、毎週、Podcast「楠田祐の人事放送局~有名企業の人事部長にズバリ聞く!」(ProFuture)のパーソナリティを務める。主な著書に、『破壊と創造の人事』(Discover 21)、『内定力 2017~就活生が知っておきたい企業の「採用基準」』(マイナビ)など。
DX企業への変革の道は、これまでの延長線上にはない
富士通株式会社 執行役員常務 総務・人事本部長 平松 浩樹 氏
VUCAの時代に必要な、ジョブ型による人材マネジメントのフルモデルチェンジ
弊社では、2019年6月に時田隆仁が社長に就任して以来、「IT企業からDX企業へ」というメッセージを社内外に発信し続けています。これまでの弊社はお客様の課題をITソリューションで解決するIT企業でしたが、今はデジタル技術が急速に進展し、さらにはVUCAの時代、お客様自身もビジネスや会社をどう変えていくのかを模索されています。そこで、まずできることは、富士通自身がDXを実践し、お客様のDXを一緒に考え、支援していける企業を目指すということだと思っています。そして「IT企業からDX企業に変わる道」は、これまでの延長線上にはありません。従って、まず「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」という新たなパーパスを定めました。このパーパスの実現に向け、全社員の行動の原理原則となる「Fujitsu Way」も刷新し、会社全体の改革を進めています。DX企業への変革を目指し、ありたい姿を実現するために、人と組織の観点で考えると、「すべての社員が魅力的な仕事に挑戦できる」、「すべての社員が常に学び、成長し続ける」、「多様・多才な人材がグローバルに協働する」という3つを実現させる必要があります。その実現を目指すにあたり、人事の仕組みをパッチワークのように、部分的に変えてもうまくいきません。「ジョブ型を中心に人材マネジメントのフルモデルチェンジをしよう」と決断しました。
あくまでも、ジョブ型は目的ではなく手段です。「チャレンジを後押しするジョブ型報酬制度」、「事業戦略に基づいた組織デザイン」、「事業部門起点の人材リソースマネジメント」、「自律的な学び/成長の支援」を改革の4本柱としましたが、これらを順番に時間をかけて導入していくと、全体が揃った時には最初に導入したものが形骸化し、機能しない恐れがあります。そこで、1つひとつの施策については少しラフであったとしても、とにかく全体的な整合性を図り、何のためにやるのかという目的をしっかり社員と共有しながら、思い切って変えていくということを進めています。
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