【協力】日本人材マネジメント協会
講師
松橋 卓司 氏
株式会社メトロール 代表取締役社長
日本大学農獣医学部卒、1980年日清食品入社。退職後企業再建を行い、1998年にメトロールに入社。 製造過程の自動化に貢献する精密位置決めセンサで世界トップクラス。少人数精鋭で利益を上げる「強い会社」を、間接部門の撤廃と開発・製造・販売へ注力した「ティール組織」により目指している。 賞歴:IT経営力大賞、2014グローバルニッチトップ、ダイバーシティ100選(以上経済産業省)、2018経営革新優秀賞(東京都)。
黒澤 敏浩 氏
株式会社ジェイエイシーリクルートメント プリンシパルアナリスト
一般社団法人日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員(リサーチプロジェクト担当)。2012年よりリサーチプロジェクト(ミドル・人事の価値・若手)に従事。人材サービス産業協議会外部労働市場賃金相場研究会委員。『The Salary Analysis in Asia』編集長。正社員ホワイトカラー人材紹介業大手の株式会社ジェイエイシーリクルートメント経営企画部にてプリンシパルアナリストを務めている。同社にて人材紹介コンサルタント、人事、マーケティングなどを経て現職。公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト。日経・CSISバーチャルシンクタンク(現富士山会合ヤングフォーラム)第2期フェロー。JSHRMにて「人事(HRM)の投資対果(ROI)」リサーチプロジェクト立上げ予定。
泉田 洋一 氏
For Next 代表
学習院大学理学部数学科卒27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。 SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。 メンタルヘルス・マネジメント検定1種合格。産業カウンセラー。
大橋 歩 氏
PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー
東京都立大学大学院理学研究科卒。地銀系シンクタンクにて、中堅・中小企業を対象とする経営コンサルティング業務に従事し、70社以上を担当。組織・人事マネジメント、労務管理、働き方改革等、人事管理全般に、強みを持つ。その傍ら、厚生労働省を始めとした中央省庁のプロジェクトへ参画。2016年より当社へ入社し、組織人事・チェンジマネジメント事業部を経て、現在は、公共事業部労働政策領域のリーダー。
自ら気づき、考え、決断し、行動できる「自燃人材」が求められる理由
ファシリテーター 株式会社ジェイエイシーリクルートメント プリンシパルアナリスト 黒澤 敏浩 氏今回は「若手の自燃行動を促進する組織~ニューノーマル時代にこそ求められること~」というテーマで、JSHRM(日本人材マネジメント協会)によるリサーチプロジェクトの研究結果を発表させていただきます。リサーチ結果についてはFor Next 代表の泉田さん、そしてリサーチのデータ分析結果をPwCコンサルティング合同会社の大橋さんに発表していただきます。また、後半のパートでは、「若手の自燃行動」を実際に実践して、高い経営成果を出されている株式会社メトロ―ルの松橋社長にお話を伺います。それでは、泉田さんより、テーマにある「若手の自燃行動」についてご説明いただきます。
For Next 代表 泉田 洋一 氏
日本人材マネジメント協会の分科会の1つであるJSHRMリサーチプロジェクトでは、若年期、ミドル期、高齢期の段階に分けて、HRプロの観点から 実務的な解決策の提言を行ってきました。若年期キャリアについて、我々の考える問題点は、大きく3つあります。1つ目は「時代が求める人材像の変化」。この数年間でAIが台頭し、人間にはルーティンワークではなく、より創造性の高い仕事が求められるようになってきました。その流れはコロナ禍により、さらに加速しています。かつては「仕事は家に持ち込まない」という考え方が美徳とされてきました。しかし、在宅勤務などで働き方や生活様式は大きく変わり、変化への対応力や創造性、主体的な成長なくしてはキャリアを重ねることが難しい世の中になってきているわけです。
2つ目の問題点は「求める人材像と逆行する若手の現状」です。現代の若者には「安定志向」や「主役になりたくない意識」、「手順を教えてもらいたい意識」が拡大しており、企業が熱心に若手の育成を行っても、結果としてうまくいかないケースが増えているのです。これは3つ目の「求める人材を育成できていない企業の現状」と深く結びついています。
こういった若者に対して、より手厚い育成プログラムを用意するとなると、企業としては大きな負担が避けられませんし、育成をしなければ離職率の加増につながってしまう。ではどうすればいいのか。
そこで出てきたキーワードが「自燃(ジネン)」です。若手を育成するのではなく、彼らの自燃をどう引き出し、確保するか。それこそが今後の人材育成には欠かせないと我々は考えています。
「自燃人材」とは、どういった人材なのか。それは「自ら気づき、考え、決断し、行動することができる人材」です。その考え方に倣うなら、周りからの働きかけがあれば自燃できる人材は「可燃(かねん)人材」、周りからの働きかけがあっても自燃できない人材は「不燃(ふねん)人材」となりますが、現代の日本のビジネスパーソンに多いのはこの可燃人材。この可燃人材を、いかに「自燃人材」に変えていくか。それが企業にとって重要な課題となっているのです。
自燃行動ができる「自燃人材」を育成する過程を、我々は「自燃サイクルモデル」と呼んでいます。「自燃行動を誘引する自燃潜在力」が「自燃行動を促進する要因」によって高められ、「自燃行動を通じた若手社員の変化」をもたらす。そのサイクルを実践することで、企業の「自燃人材」は着実に育成されるはずです。
- 1