マンパワーグループが世界42カ国・地域の採用担当者に調査を実施した「第10回人材不足に関する年次調査」によると、日本は、83%の企業が人材不足を感じ、世界で最も採用が難しい国であることが示されています。日本は、労働力人口の減少に加えて特定の企業内で役立つスキル「企業特殊的人的資本」を重視する傾向が強く、これらが労働市場の流動性を低くし、採用を難しくしている理由の一つといわれています。人材獲得競争が進むなか、採用活動はこれからも難度が増すことが予想されます。
そのようななかで、採用に強い企業(欲しい人材を採用できている企業)は、どのような意識で採用活動に取り組んでいるのでしょうか。
ビズリーチが運営するHRMOS採用管理では、企業の採用担当者約100名にアンケートを実施しました。前編では、アンケート結果を基に、採用に強い企業とそうでない企業の採用活動にどのような差があるかを明らかにしていきます。
そのようななかで、採用に強い企業(欲しい人材を採用できている企業)は、どのような意識で採用活動に取り組んでいるのでしょうか。
ビズリーチが運営するHRMOS採用管理では、企業の採用担当者約100名にアンケートを実施しました。前編では、アンケート結果を基に、採用に強い企業とそうでない企業の採用活動にどのような差があるかを明らかにしていきます。
採用に強い企業とそうでない企業の違い
本アンケートでは、95%が「所属する企業の中途採用活動は、年々難しくなっていると感じている」と回答し、求める人材要件と応募者のミスマッチや、母集団形成がしづらくなっていることを理由として挙げています。また、「あなたの勤務先の採用チームは、主体的・能動的な採用活動の実践を通じて、『欲しい人材』を採用できていますか?」という問いに対して、欲しい人材を「採用できている」と回答したのは48%、「採用できていない」と回答したのは52%という結果でした。この「欲しい人材を採用できている企業」を「A群」、「欲しい人材を採用できていない企業」を「B群」として、採用活動の意識を比較したところ、複数の項目で採用への取り組み方に差があることが分かりました。
1)戦略的な採用活動に時間を割いている
まず、本調査で大きな差がでたのは「戦略的な採用活動」への時間の割き方です。「戦略的な採用活動」とは、オペレーション業務ではなく、採用計画の立案や、候補者ごとの採用決定までのシナリオづくりや選考フローの決定、採用目標達成に向けた、各施策のPDCAサイクルにおける改善活動などのことを指します。
採用に強い、欲しい人材を採用できているA群の約50%が「戦略的な採用活動に時間を割けている」と回答した一方で、欲しい人材を採用できていないB群では「戦略的な採用活動に時間を割けている」と回答したのはわずか17%で、83%が戦略的な採用活動に時間を割けていないことが分かりました。
まず、本調査で大きな差がでたのは「戦略的な採用活動」への時間の割き方です。「戦略的な採用活動」とは、オペレーション業務ではなく、採用計画の立案や、候補者ごとの採用決定までのシナリオづくりや選考フローの決定、採用目標達成に向けた、各施策のPDCAサイクルにおける改善活動などのことを指します。
採用に強い、欲しい人材を採用できているA群の約50%が「戦略的な採用活動に時間を割けている」と回答した一方で、欲しい人材を採用できていないB群では「戦略的な採用活動に時間を割けている」と回答したのはわずか17%で、83%が戦略的な採用活動に時間を割けていないことが分かりました。
人材獲得競争が激化するなかで、これからの人事部は、保守的な前例主義ではなく、経営戦略を深く理解し、必要な人事戦略を立案・実行する戦略人事としての役割が求められます。採用業務はオペレーションが中心であると考える企業も多くありますが、採用に強くなるためには、採用部門の生産性を高め、戦略的な採用活動の実践に時間を割くことが重要であると考えられます。
2) 採用活動をデータで可視化
次に差がでたのは採用活動の「データ」に対する考え方です。採用に強い企業の67%は、採用活動をデータで可視化している一方で、B群は43%にとどまり、およそ20ポイントの差があることが分かりました。
2) 採用活動をデータで可視化
次に差がでたのは採用活動の「データ」に対する考え方です。採用に強い企業の67%は、採用活動をデータで可視化している一方で、B群は43%にとどまり、およそ20ポイントの差があることが分かりました。
採用活動をデータで可視化することで、自社の採用課題が「応募数(=母集団形成)」にあるのか、「面接の通過率(=面接力)」にあるのかなどが具体的に見えてきます。データによる可視化は、採用目標人数に対する数値管理だけではなく採用課題の発見と施策立案に活用することができます。