人件費と人員構成が適正であるかどうか
次に、現在の総額人件費の投下額が正しいかどうかを分析します。これにはいろいろな分析手法がありますが、代表的には労働分配率と人員構成基準による適正人件費の2つがあげられます。労働分配率による分析は、過去の労働分配率に照らして現在の総額人件費が正しいかどうかを分析するということで、通常は過去6カ年ほどについて検討していきます。会社が生み出す付加価値に対してどれだけの人件費を投下しているかが労働分配率です。過去6年の平均についてみていくことから始めて、6年前のものではあまり参考にならないのであれば過去3年ぐらいについてみたり、6年のなかで最大のものや最小のものを取り除いてみたりするなどによって、会社にとって妥当な労働分配率を割り出していきます。直近の付加価値にこの労働分配率をかけることで適正な総額人件費を計算することができます。
人員構成基準による適正人件費は、この会社がもっているべき等級別人員構成比に対して、実際の人員構成比がどうなっているかをみることで分析します。例えば、あるべき人員構成比に対して、高い等級(=賃金が高い)の人員が多すぎて、低い等級(=賃金が安い)の人数が少ないとなると、人員構成がゆがんでいることになります。現在の総人件費が57億3800万円であるのに対して、人員の適正モデルで割り出した総人件費が50億1200万円であるということになり、明らかに総人件費が余剰であるということです。この適正モデルと現在の人件費の差額によって人件費乖離率を割り出します。人件費乖離率が0%に近いほど健全な人件費だといえます。