現地スタッフが成功させる「MCIアカデミー」
――現地にどんどん行って、実現するのはどんな施策ですか。グローバルHRグループは、海外で採用された優秀人材を本社で経営層として登用可能な仕組みを作った。現在、現地法人の社長は買収会社を除き全員が日本人だが、これも現地採用の優秀人材が経営を担うほうが望ましい。
残念ながらまだ社長への登用例はないが、部長クラスへの登用は増えており、取締役になった者もいる。こういう事例を増やしていきたいと考えている。
そのために作成したのが人材データベースだ。海外の従業員数は3500名ほどだが、その中のマネジャー約300名についてデータベース化している。この人材データベースを生かすのが次のステップだ。
具体的にはタレント・マネジメントの実行ということになる。現地で優秀人材を発掘し、次に与えるポジションを考え、そのために必要な育成を行う。
こういう施策を本社から実行することには限界があるため、タレント・マネジメントを担うのは現地の人事スタッフだ。具体的な動きもある。三井化学(Mitsui Chemicals, Inc)の社名を関した「MCIアカデミー」をシンガポールのアジア・パシフィック地域の統括会社と域内の各拠点でスタートさせる。これはマネジメント研修やエンジニアリング教育などを行うものだが、主体は地域のスタッフだ。本社は予算面でのフォローをする立場だ。
この「MCIアカデミー」が成功したら中国にモデルを持っていき、中国版「MCIアカデミー」をスタートさせたいと思う。