トップが方向性を明確に示すことで、安心して働ける会社になる
~ニッポン高度紙工業株式会社(高知市)の事例
ニッポン高度紙工業(株)は、安全衛生に関する様々な活動に全社で取組み、四国初の安全衛生優良企業になった。「認定を受けるために安全衛生活動をしたのではありません。これまでの事例を第三者に見てもらい、その活動が間違っていないか、不足している点はないかを知りたかったのです。『安全を一番に優先する』とトップが明確に示すことで、安心して働ける会社になると考えています。」
「製造業では、安全や品質・生産性を重視する側面があります。製造中に事故が起こった場合、装置を止めるとそれだけ手間・経費・時間がかかります。だから動いている装置を止めないで近道行動にでる。でも、そういったときに労働災害が起こるんです。たとえ遠回りになっても装置を止めて、決められた手順で処置を行う。そういった考え方を全社員が認識しなくてはいけません。」
≪ニッポン高度紙工業(株)の安全衛生活動事例≫
(1)各事業所の課題や問題解決の進捗度管理体制作り
安全・衛生管理・防火・安全運転管理・全社統一課題、各事業所で実施している活動を社内で共有する。毎年、各事業所の安全衛生活動を検証し年間計画を立て、さらに活動内容を分かりやすく項目別に区分けしている。
(2)全パトロールの実施
各事業所がパトロールをし合う、一斉パトロールを年1回実施。いつもと違う目で確認し合うことで、新たなリスクを発見することができる。指摘事項は全社で共有化している。
(3)災害時対策
従業員の安全確保を最優先とし、様々な災害時における対策を徹底している。
・緊急地震速報、安否確認システムの導入、非常用備蓄品を各事業所に配備。
・事業所内に津波避難ビルを設置。従業員や近隣の小学生、住民の避難場所としても配慮する。
・災害時は衛星電話で避難状況確認。テントや簡易トイレの設置訓練を行う。
・救急車が来ないことを想定し、応急処置として止血、骨折の固定の訓練などを行う。
(4)被災やヒヤリハット事例を全社共有
各事業所での被災や事故事例を次に活かすため、ヒヤリハット、被災事例、気がかりな情報をあげやすい環境づくりを心掛け、全社に共有する。
(5)3H活動の推進
事故やトラブルは初めて(Hajimete)、変更(Henkou )久しぶり(Hisashiburi)の時に起きると認識し、事前の(KYT危険予知訓練)やリスクアセスメントを実施している。
(6) 防火管理体制の強化
安全衛生委員会や火元責任者を対象に消防基礎教育を受講し、社内の防火管理のレベルアップ及び、防火管理の意識の向上に取り組んでいる。
(7)集団健康学習
「血管から健康」「大人の食育」や「歯科教育」など、毎回健康に関するテーマを決め学習する。
(8)非言語コミュニケーション
態度・表情・声のトーンなどの非言語への気配りの大切さを従業員が認識し、明るく元気な職場を築く。
「『一人ひとりの健康が元気な職場を作る』という方針の元に活動しています。これらを実行していくことで、事業が継続し、安心して働ける環境づくりにつながります。健康に働くためには、職場の整備改善や労働災害の未然防止を両輪で回す必要があるのです。