新入社員は、集団になると、個人とは異なった行動傾向を発揮することがあります。
集団になると個人とは違う行動をとるというのは、新人に限った話ではないのですが、新入社員研修を担当していると、新入社員特有の「集団怠慢癖」を感じることが多くあります。
社会心理学ではこれを「社会的手抜き」と称することがあります。


たとえば、応援団のようなところで大声を出す場合、一人一人の声の大きさは測定できません。
単独で大声を出させ、その総和以上の声の大きさになればよいのですが、実際は集団になると手抜きが生じ、100%の声を出さない人が増えるのです。
同様に、新入社員研修では、あいさつの練習をさせると、「社会的手抜き」が顕著にみられます。
そのため、一人ひとりを相手に、声の大きさを確認することもあります。
グループディスカッションでは、意見を持っていても言わない人が結構いますし、発表も特定の人に固まることが多くあります。このように、研修のあらゆる場面でこの「社会的手抜き」は見られます。そこを注意しつつ研修を進めるのですが、すべてを防げるわけではありません。


感覚として、「手抜き」をする人の割合が近年高まっているような気がします。
場合によっては、「一日、二回だけ発言すれば、許される」くらいの感覚、この「叱られない」「目立たない」というラインを勝手に引いて、行動する人もいるように思います。
要は、「うまくこなして乗り切る」という姿勢がなんとなく強くなってきているように思うのですが、どうでしょうか?

配属後の営業現場で、伸び悩む新入社員が多くなってきたように思います。
そこでは、「言われたことを愚直に続ける」とか「失敗しても、それを糧にして乗り越えていく」「少し工夫してみる」というような力の低下があるよです。
例えば、不動産の販売現場では「オープンハウスを担当させたら、一日中、その家の前に立ってた」とか「投げ込みをさせたら、なかなか帰ってこないが、聞いてみると入れやすい戸建て住宅だけ回り、範囲外まで行っていた」というようなことを聞いたことがあります。
道行く人にチラシを渡し、近隣の賃貸住宅に投げ込みをし、様々工夫するもの、相談するもの・・・というのが先輩社員のやってきたことです。それを「言葉で伝えて」いても、やらないのです。
そこには、「そこまでやらなくても」という力の出し惜しみや「変なところに投げ込んで叱られるのは嫌だ」という自己保身など様々な意識があるとは思います。


このような意識のために、「なんら結果を出せない」ということも少なくありません。
結果を出すことの重要性を理解しているにも関わらず、行動が伴わないのです。


この現象の対策ですが、正攻法としては、「小さな成功体験の積み重ねで、チャレンジする精神を養う」ということです。「やり方や考え方を知らないだけ」なので、「こんなことも教えなければならないのか?」というベーシックなところから教える必要があるのです。
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