2.これから中国で更なる拡充が求められる横串調整型人材の要件

  組織の視点では、まず、各事業及び各機能を繋ぐ「交点」となる組織の整備が必要であろう。その組織に経営陣が社内における正当性(なぜその組織が存在しているか、全体目線で関係者に説明する等)を与え、その組織が支障なく動ける環境を整えることから整備は始まる。しかし、最も重要な課題は、その「交点」で活躍する人材を如何に確保するかであろう。「交点」で活躍する人材確保の必要性は以前から言われていたが、今この時期、確保に向けた本気の取り組みが求められている。そこで、この人材を「横串調整型人材」と銘打ち、確保する上でその指針となる要件を次のように整理してみた。

1企画力と調整力
全体目線で中国事業拡大計画を合理的に思考することができ、その事業拡大上の関係者の利害を洞察し、その計画への賛同と協力を得る力が求められる。

2自社の幅広く、深い理解
全社目線で事業拡大に向けた企画や調整を行うために、自社への広く・深い理解が不可欠である。市場ニーズを把握したとしても、自社にできること、できないこと、工夫すればできること等自社の強み・弱みを理解していないと事業拡大のアイディアは発想できない。また、各事業・機能を横串しで調整する際、自社の意思決定プロセスの特徴、効果的なコミュニケーション(根回し等)を理解していないと、その計画を推進する上で大きな障害となる。

3社内関係構築力
調整を行う上で、関係者からの信頼を得ることは不可欠であり、信頼関係を築いている自社内において影響力のある組織・人の数は多ければ多いほどよい。関係構築の鍵(相手の利害を洞察した上でWin-Winな成果の提案、熱意など)を(2)の自社理解から導きだし、企画と調整を通じて鍵となる社内人脈を構築する力が求められる。

4会社・仕事への愛着・誇り
最も重要な要件となる。事業間・機能間で横串調整をする際、関係者から誤解・コンフリクトも起き易い。また、明確な指示命令・階層構造に基づいて活動するわけではないので、自己を統制し、常に創造的な気持ちとアクションへの関心を維持しなければならない。忍耐や粘り強さが求められる。この忍耐や粘り強さは「会社をよくしたいという気持ち」と自己実現が一致した時に強化される。つまり、会社・仕事への愛着・誇りをもっていることが重要な要件となる。

 もちろん正確に要件を特定するためには、それなりのプロセスを踏まなければならないが、事業環境から求められる要件を整理すると上記のようになるだろう。これら要件を満たした横串調整型人材を如何に確保するべきか、これが課題となる。

3.想起される日本型人材マネジメント -新たなチャレ...

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