調査の結果と同時に解決策も一緒に考えるまでが共同研究…調査を元にドラマ仕立ての研修教材を開発
―― 共同開発に至った経緯、この研修の特徴についておうかがいします。中原 私の研究は人材開発なので、調査の結果をお届けして、それでは終わりません。必ずその先にある「So What(で、どうしなければならないの?)」という問いに対して、現場の方々と向き合うことにしています。具体的には、その先にある「解決先」も一緒に考えさせていただき、しっかりと実装し、場合によっては評価をいたします。
岩崎 パーソル総合研究所は、パーソルグループのインテリジェンスHITO総合研究所とテンプスタッフラーニングが合併してできました。シンクタンク・リサーチ機能が強いインテリジェンスHITO総合研究所と、企業向け教育研修をメインとしていたテンプスタッフラーニングが合併したことにより、中原先生のおっしゃる「調査だけでなく、ソリューション提供まで」を一貫してとして提供できるようになったという背景もありました。
中原 私は主に大企業の正規雇用についての調査・研究を中心に行っているのですが、アルバイト・パート領域での調査は初めてでした。大企業の正規雇用と店舗のアルバイト・パートとの違いに驚きましたね。まず、店長やマネージャーは多忙で現場から離れられないという壁にぶつかりました。
例えば、大企業の場合、課長研修などは通常2~3日、少なくとも半日程度時間をとって行いますが、店舗の場合は、分単位でしか時間がとれません。また、全国に支店が点在している場合、店長やマネージャーが集まる場所も時間もありません。もし、研修をするならば、それぞれの拠点で、誰かをファシリテーター役に立て、4~5人の単位でやるしかないのです。
岩崎 とにかく店長は、時間がないし、人数が多い。店長が1,000人いれば、1回に20人ずつ研修しても50回必要です。例えば研修1回40万円の費用だとすると、総額2,000万円かかることになり、現実的ではありません。
そこで開発された店長・マネージャー研修プログラムは映像化しました。
「採用・面接編」と「職場づくり編」に分かれ、25,000人の調査を科学的に分析し、ストーリーはドラマ仕立て、客観的なデータは分かりやすくビジュアル化し、教材に組み込みこみました。
職場での問題点をドラマ化した映像を見たあとは、グループディスカッションタイムを設けていますが、ファシリテーターも映像化し、研修時にはファシリテーターや講師を用意する必要がありません。時間管理もすべて映像に組み込まれています。
中原 面接で、アルバイト・パートの方に仕事のやりがいや魅力を伝えることは非常に重要なことが調査から分かったのですが、多くの店舗ではこれができていません。店長が店の魅力ややりがいを概念として持っていたとしても、面接では伝えられていないのです。そこで、実際の面接でどのように伝えたらいいのか、研修でフレーズを考え、ロールプレイングします。つまり、面接での実践を逆算して準備をするわけです。
「スタッフが採れる!辞めない!活躍する!店長・職場マネージャー向け研修」について