事例紹介  通勤費精算管理システム「らくらく定期.net」

専用システムの導入で通勤費管理業務を大幅に効率化 最適経路を公平・明快に決定できるから社員が納得、クレーム「ゼロ」を実現

人事の業務には、比較的低コストで劇的に効率化できる余地がまだまだ残っている。たとえば転勤・転居などによる通勤費の申請や差額の精算、消費税率引き上げに伴う運賃改定への対応などは、専用システムの導入によって人事部門はもちろん、申請する社員の負担を大きく軽減することが可能だ。

中でも(株)無限の通勤費精算管理システム「らくらく定期.net」は、機能の多彩さと使い勝手のよさで、導入企業から高い評価を受けている。 そこで2015年にこの「らくらく定期.net」を導入した宮崎を拠点とする航空会社ソラシドエアを訪ね、人事部ビジネスサポート課長の長谷川隆二氏に、導入の経緯、使い勝手、効果などについて話を聞いた。

消費税率引き上げによる運賃改定で
システム導入の必要性を痛感

まずソラシドエアについて、簡単にご紹介いただけますか?

当社は1997年に宮崎で設立され、2002年に運航を開始した航空会社です。当初は宮崎—羽田間1日6便の単路線営業で、従業員は約200人という小さな会社でした。その後、羽田と熊本・長崎・鹿児島・大分を結ぶ各路線、さらに那覇と九州の各拠点を結ぶ路線など、順次路線を拡大し、現在は従業員数約870人になりました。これら九州の各都市や東京(羽田)、那覇、神戸、愛知(中部国際空港)、石垣島などに拠点があります。

就航から10年目の2011年7月には新ブランド名「ソラシドエア」を導入、2015年12月には社名を「スカイネットアジア航空」から「ソラシドエア」に正式変更。“メイクワンダー!”を合言葉にソラシドエアならではの驚きやワクワクといった「第三の価値」を提供すべく、社員一丸となって取り組んでいます。

「らくらく定期.net」導入にはどのような経緯があったのでしょうか?

2008年頃、従業員500人体制までは、人事業務のシステムとしては給与計算のパッケージシステムを使用していたくらいでした。その後さらに従業員が増えていく中で人事管理システム導入の検討を始め、2012年、700人を超えたときにアイテックス(株)の人事・給与管理システム「PRO-STAFF-α」を導入、1年かけて本稼働をスタートしました。

2014年4月に、消費税率引き上げによる運賃改定に向けて対応が必要となりました。紙ベースで全社員の通勤経路と運賃を回収し、確認する作業は予想以上に大変で、システム化の必要性をこのとき痛感したのです。それでアイテックスに相談したら、パートナーである(株)無限の通勤費管理システム「らくらく定期.net」をご紹介いただきました。他の通勤費管理システムもいくつか検討しましたが、人事・給与管理システム「PRO-STAFF-α」との連携の相性が良く、システム導入によって実現したい要件が満たされていたので、最終的に「らくらく定期.net」を選択しました。消費税の処理が落ち着いた10月ごろから導入に向けて動き出し、2015年3月に導入。データ登録をしたのち、7月から稼働を始めました。それ以降は、社員が自分で通勤費の申請ができるようになりました。

必要な機能と導入コストのマッチングなどは難しくなかったのでしょうか?

コストは想定していたより低く抑えることができました。当社の求める機能が「らくらく定期.net」の標準仕様にすべて含まれていたので、カスタマイズの必要がなかったのが大きかったですね。おかげで費用面での社内稟議を問題なくクリアできました。

業務の効率化だけでなく、
通勤経路の判断基準の明確化も重要課題

「らくらく定期.net」導入までは、通勤費管理にどのような課題がありましたか?

消費税率引き上げによる運賃改定などで膨大な作業の負荷が生じるケースだけでなく、通常時でもかなり大きな課題がありました。まず、通勤経路を決めて紙ベースで申請し、所属長の承認を経て人事がチェックする。適正でないと判断した場合は所属長や申請者に説明し、再申請を行い、決定した通勤費を給与システムに入力するといったことを手作業でやっていたわけです。転居して通勤経路が変わり、払い戻しを行う場合にも、人の確認・判断と手計算で手続きを行い、計算説明書を作成して本人に送付していました。こうした手間の解消とペーパーレス化が大きな課題でした。

さらに問題なのは、手続きや判断の基準が曖昧だったことです。たとえば申請書の書き方ひとつでも、交通機関ごとに乗り換えの経路を詳しく書く人もいれば、自宅と勤務先の最寄り駅しか書かない人もいました。それを人事がひとつひとつWebサイトの乗り換え案内でチェックしていかなければならないわけです。しかもどの経路が適正かは、運賃の安さや所要時間、乗り換え回数など、基準が色々あり、土地勘の有無など、人によって判断が違います。単にチェックの手間がかかるだけでなく、経路の認可・却下によって申請者が不公平を感じることもありました。

通勤費管理業務は自動車通勤のガソリン代の申請・処理も含まれているとうかがいましたが、システムで処理するのは公共交通機関の交通費だけではないのですね?

そうです。地方ではどうしても自動車通勤が必要な地域が少なくありませんから、ガソリン代への対応は不可欠です。当社では3か月ごとに市場価格に合わせてガソリン代を決めています。もちろん価格には地域差がありますから、地域別に単価を設定しています。この通知も従来はWordで文書を作成して各拠点に送っていましたが、「らくらく定期.net」導入後は、単価を入力すればあとは自動で計算されるようにしました。

様々な課題は「らくらく定期.net」によって解消されましたか?

当社が導入したのはイントラネット版のシステムなのですが、社員がWebブラウザで申請し、所属長と人事が承認するところまでワークフロー化され、通勤費の給与システムへの反映や転居後の住所の人事システムへの反映なども自動で行われるようになりました。ペーパーレス化も、ETCの証票が財務上必要ですがそれ以外は完全に実現しました。人事が行っていた通勤経路の確認、最適経路の判断、通勤費の算出も自動化されました。おかげで人事の作業時間は1人あたり約15分から、わずか2分になりました。

効率化の目標は、人事の作業工数を約4分の1に(月48時間から12時間へ、36時間の効率化)、申請者する社員の作業工数を約半分に(月300時間から150時間へ、150時間の効率化)、ペーパーを3分の1に(月300枚から100枚へ、200枚の効率化)というものでしたが、これらはすべてクリアできています。

また、紙ベース・手作業で申請管理を行っていたときは、どうしても記入ミス・入力ミスが起き、その対応が大きな負担になっていましたが、こうしたミスによる手間が解消されたことも大きいですね。

このあと、インタビューはまだまだ続きます。

このあと、インタビューはまだまだ続きます。

  • 適正な通勤経路もシステム上で明快になり、社員の納得感も向上
  • サポートセンターのわかりやすい対応で、導入から本格稼働までスムーズに移行
  • 今後の運賃改定への対応やシステム運用の改善も楽しみ

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ソラシドエア

株式会社ソラシドエア
人事部ビジネスサポート課長
長谷川隆二氏

1995年 旅行会社(日本旅行100%出資子会社)に入社。羽田空港でカウンター業務を行う。 その後、航空関連の様々な業種を経験し、スカイネットアジア航空株式会社(現:株式会社ソラシドエア)に入社。 就航当初の5年間は現場で航空機の到着から出発までの地上作業の工程管理業務を担当。その後5年間、機内搭載品の管理や客室乗務員の労務管理を行う客室部に所属し、運航に関わる業務を通して航空会社の特性や働く社員の価値観を学ぶ。 2011年12月に人事部人事課に配属。主に採用や社員教育を行う。 2014年4月、組織改変により現在の人事部 ビジネスサポート課として、雇用・労務管理をはじめ給与・経費に関わる業務を受け持ち、従業員にとって働きやすい環境を提供できるよう、手続きの効率化・制度の明確化をめざしている。

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