長引くコロナ禍で、行動制限が解除されてだいぶ経つとは言え、未だ環境に気を遣う日々が続いています。そのような中、リモートワークやハイブリッドワークでのもどかしい感覚が、経営幹部・上司各位に共通して蔓延していることを、筆者自身もクライアントの皆さんとの折々のコミュニケーションで感じています。先行きの見えない状況下でも、メンバーの生産性を高めるために、組織のマネジャーはどのようにすればよいのでしょうか。
実際にクライアントの方々からは、「チーム全体に漠然とした停滞感が漂う」、「コロナ拡大初期のような危機意識の醸成が、部下たちに対して効かなくなってきており困っている」といった声が聞かれます。
グーグルが明らかにした優れたマネジャーの「10の条件」
経営幹部の皆さんにぜひ役立てていただきたいのが、グーグルが自社での研究成果を公開した「Googleマネージャーの行動規範」です。これは、グーグルが膨大な時間とコストをかけてチームのパフォーマンスやメンバーの生産性と上司のタイプの関係性を調べ、そこから優れたマネジャーの10の条件を挙げたものです。それでは、具体的に10の条件を見てみましょう。
【優れたマネジャーの「10の条件」】
1.良いコーチである
2.チームに任せ、細かく管理しない
3.チームの仕事面の成果だけでなく、健康も含めて充足に配慮し、インクルーシブ(包括的)なチーム環境を作る
4.生産性が高く、結果を重視する
5.効果的なコミュニケーションをする。人の話をよく聞き、情報を共有する
6.キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う
7.明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する
8.チームにアドバイスできる専門知識がある
9.部門の枠を超えてコラボレーションを行う
10.決断力がある
1.良いコーチである
2.チームに任せ、細かく管理しない
3.チームの仕事面の成果だけでなく、健康も含めて充足に配慮し、インクルーシブ(包括的)なチーム環境を作る
4.生産性が高く、結果を重視する
5.効果的なコミュニケーションをする。人の話をよく聞き、情報を共有する
6.キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う
7.明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する
8.チームにアドバイスできる専門知識がある
9.部門の枠を超えてコラボレーションを行う
10.決断力がある
グーグルではこの10の条件に基づき、部下から上司に行われる「アップワード(上方)フィードバック調査」が半年に一度行われているそうです。“上司が部下に”ではなく、“部下が上司に”スコアリングを行うサーベイとなっています。
チームメンバーたちに「非常にそう思う」と思って欲しい13項目
調査アンケートには、部下に当たる3人以上が匿名で回答し、集計後のフィードバックレポートを対象となる上司本人が受け取ります。全部で13の項目に対して、「非常にそう思う」が『5』、「まったくそう思わない」が『1』で、5段階のうち当てはまるものを回答します。グーグルはこのサーベイについても、具体的な13項目を公開しています。その13項目は以下の通りです。
1.マネージャーとして他の人に推薦できる
2.能力を伸ばせる機会を与えて、キャリア開発をサポートしてくれる
3.チームに明確な目標を伝えている
4.具体的にアクションできるフィードバックを定期的に提供してくれる
5.仕事に関して自主性を尊重してくれる(マイクロマネジメントをしない)
6.1人の人間として常に思いやりを示してくれる
7.困難な状況においてもチームが最優先の仕事に集中できるように取り計らってくれる(他のプロジェクトを断ったり、優先順位を下げたりすることが必要となる時など)
8.上層部からの重要な情報を随時伝えてくれる
9.過去半年の間に、自分のキャリア形成について有意義な話し合いの場を設けてくれた
10.部下を効果的にマネジメントするための専門知識(技術的知識、セールスの知識、経理の知識など)を有している
11.マネージャーとの間で意見の相違があったとしても、自分の意見を尊重してくれていることが行動から伝わる
12.困難な状況においても優れた意思決定を行える(複数のチームに関連したり、関係者間での優先順位が異なったりしている状況など)
13.チームや組織の枠を超えたコラボレーションを効率よく行える
(Google re:Work ガイド「マネージャーにフィードバックを提供する」より)
2.能力を伸ばせる機会を与えて、キャリア開発をサポートしてくれる
3.チームに明確な目標を伝えている
4.具体的にアクションできるフィードバックを定期的に提供してくれる
5.仕事に関して自主性を尊重してくれる(マイクロマネジメントをしない)
6.1人の人間として常に思いやりを示してくれる
7.困難な状況においてもチームが最優先の仕事に集中できるように取り計らってくれる(他のプロジェクトを断ったり、優先順位を下げたりすることが必要となる時など)
8.上層部からの重要な情報を随時伝えてくれる
9.過去半年の間に、自分のキャリア形成について有意義な話し合いの場を設けてくれた
10.部下を効果的にマネジメントするための専門知識(技術的知識、セールスの知識、経理の知識など)を有している
11.マネージャーとの間で意見の相違があったとしても、自分の意見を尊重してくれていることが行動から伝わる
12.困難な状況においても優れた意思決定を行える(複数のチームに関連したり、関係者間での優先順位が異なったりしている状況など)
13.チームや組織の枠を超えたコラボレーションを効率よく行える
(Google re:Work ガイド「マネージャーにフィードバックを提供する」より)
“グーグル流”優れたマネジャーとなるためのPDCAを回す
ここまで、優れたマネジャーの「10の条件」と、フィードバックアンケートにおける「13項目」を見てきましたが、御社の経営幹部各位はどうでしょうか。あるいは彼らの部下に当たるマネジャー陣はいかがでしょう。「結構できているな」と思われた方もいれば、「こんなこと、すべてできる人はなかなかいないでしょう」と思われた方もいるかもしれません。一つひとつを見れば、大切なことだとは分かっていても、なかなか実際にはできていないという経営幹部およびマネジャーが多いのではないかと思います。しかし、チームメンバーからして、その上司に当たる人のどのようなところを見ているのかを理解できれば、御社の経営幹部・マネジャー各位も生産性高いチームとメンバーを生み出す優れたマネジャーになれるはずです。
ここで、私なりにフィードバックアンケートのうち12項目を整理してみます。
(※「1.マネージャーとして他の人に推薦できる」については除外しています)
3,7,8,12 →仕事に意味を見出してあげる
6,10,13 →協働、承認を与える
5,11 →心理的安全性を確保する
2,4,9 →キャリア、成長を支援する
6,10,13 →協働、承認を与える
5,11 →心理的安全性を確保する
2,4,9 →キャリア、成長を支援する
12項目を意味合いごとに整理すると、上記のように分けられるかと思います。これができれば、御社のチーム(課・部や事業部門)は最高のコンディションとなり、チームメンバーたちの生産性は飛躍的に高まるのです。
各項目は、優れたマネジャーの10の条件に紐づいています。このフィードバックは上司の「評価」ではなく、あくまで「育成」が目的。チームメンバーたちからフィードバックを定期的に得ることで、「何ができていて、何が不足しているのか」をチェックし、改善を図るよう促すことで、マネジャーたちのレベルアップを実現しようとしているのです。それが結果として、社内の各チームの生産性を上げ、メンバーたちの生産性をあげることにつながります。
このサーベイは先ほどご紹介した「Google re:Work ガイド『マネージャーにフィードバックを提供する』」で、実際に使えるようにテンプレートが共有されています。よろしければ御社でも、経営幹部やマネジャー陣について、それぞれの部下たちに「アップワード(上方)フィードバック」をしてもらってはいかがでしょうか?