「スパン・オブ・コントロール(Span of Control)」とは、管理者1人が直接管理(コントロール)できる部下の人数や業務の領域(スパン)のことをいう経営学の用語です。

様々な研究によって一般的に1人が管理できるとされている適正人数は5~8人程度。例えば、米Amazonではジェフ・ベゾスCEOが提唱した「ピザ2枚チーム」というルールに基づき、2枚のピザで足りる程度の規模でチームを組んでいます。これは10名未満のチームが理想的であるとし、小規模であるほど効率的かつ生産的とする理論です。それが管理のしやすさにもつながるとしています。

しかし当然ながら、業務内容や職場環境によって適正人数は変わります。マニュアル化できる定型的なシングルタスクが多ければ、管理範囲は広がるでしょうし、個々が専門的で難易度の高い業務をこなしている場合は、管理できる領域は絞られるでしょう。

適正人数を超過し、管理者が監督しきれない状況に陥ると、業務が滞るだけでなく、メンバーの能力開発が進まなかったり、孤立するメンバーが生まれたりするなど、組織に悪影響が及ぶ可能性があります。効率的な事業運営や組織開発のためにも、適切な人数でチームを構成することは重要です。

企業側からのアプローチによってスパン・オブ・コントロールを広げたい場合は、管理者の一部権限を部下に委譲すること、目標管理制度(MBO)の仕組みを導入することなどの施策が挙げられます。また最近では、グループウェアなどITツールが管理に一役買うケースも少なくありません。