7割近い企業で人事・組織上の課題として挙げられた「組織の活性化」の課題に対し、有効な手を打てている企業は多いのだろうか。「人事・組織課題に対する具体的な対策の計画」について聞くと、必ずしもうまく進められていないようである。計画がある企業は30%にすぎない。さらに「対策が打てない阻害要因」を聞くと、「他課題との優先順位」(42%)、「対応策が不明確」(33%)の順に多くなっている。
また、問題があると知りつつ、「課題が明確になっていない」(27%)こともある。具体的に、どこにどういう問題があるのかが見える化できていない。また自社で対応策を講じようとしても、そのためのスキルと経験が蓄積されている企業でないと、そう簡単にはできない。であれば、組織・人材領域のコンサルティングを行う支援サービスを利用するのも一つの手だ。数百人規模のコンサルタントを抱える大手もあれば、研修効果の定着化によるリーダーシップ開発を得意とする会社、定量分析など課題を見える化する独自の方法論を持つ会社もあり、特色はそれぞれ違う。担当者の話を聞いてみて、自社に合った支援サービスを選ぶとよいだろう。
ビジネス環境が大きく変わる中、現状の人事制度のままではいけないと考える企業は増えている。HR総研のアンケート調査で「現在の人事制度の導入年(小改定を含む)」を聞いたところ、「2014年」12%、「2013~2010年」46%と、2010年以降に人事制度を改定した企業は6割に迫っている。特に企業規模「1001名以上」の大手に限れば、2010以降の改定が7割以上である。そして、「今後の人事制度の改定」については、「予定している」企業が39%と最多で、「予定していない」31%、「わからない」30%と続く。この改定意向は規模・業種による違いが少なく、いずれの企業規模・業種でも約4割が改定を予定している。
では、いま企業は何が人事制度の課題だと感じているのだろうか。回答が多かったのは「評価者のスキル向上」「人材要件の定義を見直し」(いずれも46%)、「目標管理の運用レベルを向上」(30%)、「評価のメリハリ」(27%)である。フリーコメントからは、「評価運用が適正でないケースが見受けられる」、「被評価者の満足度の低下」、「一生懸命に働いた成果になっていない」、「公平感に欠けている」、「昇格条件が明確でない」等々、多くの課題があるようだ(図表??参照)。
人事制度は、策定だけでなく策定後の運用の仕方が肝心だ。どのように定着させていけばいいのかを、自社の文化にあわせて丁寧に支援してくれるコンサルティングサービスを選ぶことが、成功の鍵となるだろう。