チームの業績が計画通りに進捗しないということがあります。つまり、「業績不振」の状態です。業績不振の時こそ、私たち上司の真価が問われます。実際に私がコンサルティングを行っている企業様でも、業績不振の際のマネジャーの振る舞いは様々です。

 例えば、業績不振の原因を尋ねると・・「うちの部下は、行動量が少なすぎるんですよ。業績がこんな状況でも、全然動きませんからね」「まあ、うちのメンバーじゃ業績を上げるのは難しいですよ。やっぱりチームは人次第なんですよ」という発言をする人がいます。つまり、業績不振は「メンバーのせいである」という言い分です。
 このように、業績不振をメンバーのせいにする上司は、強いチームを作れません。

 私たち上司は限られたリソース(資源)を活用して、チームの業績を上げ、目標を達成させることが使命です。そして、それこそが腕の見せ所です。「メンバーの動きがわるい」「メンバーに資質がない」というセリフは、自身の腕のなさを自ら露呈しているということになるのです。

 強いチームをつくる上司は、業績不振を「チーム力向上のチャンス」と捉えて行動を起こします。例えば次のような行動です。

◆必達コメントを貫き通す

   「今期は厳しいな・・・」「達成は難しいかもしれない」等、上司が弱気な発言をすると、メンバーの気持ちは一気に醒めてしまいます。そして、一度醒めた気持ちはなかなかもとに戻りません。業績不振時には、「まだまだこれからだよ」「必ず達成するぞ!」等、全く諦めていないということを、意図的に口に出すことでメンバーの気持ちを鼓舞します。
 「うちの上司は全く諦めていない。ということは、達成できる可能性があるんだな」という安心感が気持ちを前に向かせ、「諦めムード」が排除されます。

◆復活ストーリーを描き、見える化する

   業績不振の現在から、業績目標達成までの計画を「復活ストーリー」として描き、それをカベに貼りだすなどして、常に意識させることも大切です。この「復活ストーリー」はメンバーと話し合いながら作成することが理想です。復活ストーリー作りで様々なアイデアを出し合っているうちに、メンバー全員の気持ちが一体化し、「チーム全体で達成しよう」という空気が出来上がります。

◆時に大号令をかける

   復活に向けてチーム一丸となって動いている際には、時に上司が大号令をかけることで勢いを加速させることも効果的です。「よし、今週1週間で、重点顧客すべてに提案を行うぞ!」等と大号令をかけ、全員が一気に同じ動きを行い強い一体感を感じることで、ますますチームの勢いが高まり、「何としても、業績目標達成だ!」という意気込みが強くなります。
   このような策はあくまでも一例です。とにかく、業績不振を吹き飛ばす策を「何か行う」ことが大切です。最もよくないのは、「何もしない」ことでしょう。「業績不振の際に、上司があれこれ言うのは良くない」「私は、あくまで部下の自主性に任せている」といったことを言う人がいますが、それは業績が好調な時に言って下さい。
 今現在チームが業績不振のあなた(上司)。それをチャンスに変えるかどうかは、あなた次第です。
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!