マネジャー研修に集まった皆様に、「マネジャーとしての悩みは何か?」と聞いて出てくるものの中に、「部下の仕事内容が分からない」というものがあります。これは、一人ひとりの仕事内容が専門特化しているがゆえに、メンバーの仕事内容を本当に理解できないというものです。
このような状態の場合、通常メンバー同士もお互いに何をしているか分からない状態であることが多いようです。「一人ひとりが担当しているクライアントの業界が、全く違う」「一人ひとりの扱っている商品が全く違う」「専門分野が全く違う研究職の集まり」等々。結果的に、個人商店の集まりのようなチームになっています。特に中小企業ですと、一人ひとりに任された裁量が大きいので、今後ますますこのような状況が強まっていくのではないでしょうか。

 では、このような状態で「強いチーム」をつくるにはどうするか?
 もうこれは、「お互いの仕事を理解し合う」しかありません。要するに、お互いの仕事に興味を持つのです。日々の業務を行っている中では、目の前の仕事に邁進しますからなかなか隣のメンバーに目を向ける余裕はありません。やはり、情報共有をする「場」をつくることが必要ではないでしょうか。それは、定期的な勉強会でも朝礼での情報共有でも、会議の場での発表会でも手段は何でも良いと思います。

 ただ、メンバーから次のような言葉が出てくるかも知れません。「他のメンバーの仕事を知ったところで、自分の仕事にはプラスにならない・・・。だって、関係ないから」
 このような状態のチームは、勉強会を始めても、会議で発表し合っても、大体すぐに頓挫します。2~3回でThe Endです。

 こうならないためには、どうすればよいのでしょうか?
 それは、やはり私たち上司の態度次第です。私たち上司が、常日頃から一人ひとりのメンバーの業務に興味を持ち、「それは何なの?」「そのクライアントは、どのような状態なの?」と情報収集をします。その上で、「いやー、田中さんのクライアントの〇〇工業様は、面白い会社だよ」「森田さんが今やっている〇〇の研究だけど、面白い局面に入っているよ」等、意図的に言いふらすのです。
 毎日のようにそのような「言いふらし」を聞き続ければ、「ちょっと面白そうだな・・・」と感じるのが人間。もちろん、上司が面白そうに言いふらせば、の話ですが。

 これは、上司がおかしなプライドを持たずに、メンバーに「それ、教えて」と素直に質問して情報収集できるかが問われます。「上司は、メンバーより上にいなくてはいけない。メンバーに教わるなどもってのほか」という意識が少しでもあると、なかなか素直に「教えて」ということはできません。
 プライドを捨て、どんどん教わって言いふらす。要するに、各メンバーの仕事の宣伝マンが今の上司の役割として重要になってきているのです。

 忘れてはならないのが、チーム外にも言いふらすということです。他部門の人達が「面白そうなことやってるな」と感じてもらえれば、全社的な情報共有にもつながります。

 情報共有をITだけに頼ってませんか?
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