2016年就活の状況ですが、すでに終盤戦になっているようです。大学の就職支援の現場にいながら「なっているよう」という表現はお叱りを受けるかもしれませんが、今年の状況についてはそう表現せざるを得ないような状況で、ピークを感じることなくなんとなく大半の学生が就活を終えてしまったような状況になってしまったなあという印象です。
8月から選考を始める大手の結果がでていないのに終盤戦というのもおかしな話なのですが、大手の選考を残してほとんどの学生が就活をしてないようなのです。例年ですと個別の相談に乗っていた学生が意中の企業に内定をもらった際に、嬉しそうに私たちに報告にやってきたりもするのですが、今年はそうした報告も今のところあまりなく、なんだか不思議な状況で終盤戦を迎えているようです。

とは言え、例年通りの部分もあります。本学の文系の学生は公務員志望者が多いのですが、こちらの方は今から来月前半までが面接対策のピークになりますので、そちらについては相変わらずの状況です。もう一つは面接がなかなか前に進まない学生からの相談が少しずつ増えてきております。今年は超売り手市場ということもあり、周囲の学生が順調に内定をもらっているのを見て焦ってしまうようで、一度躓くとなかなか単独では仕切りなおしができずに苦労している学生が見受けられます。周囲との比較の中で自己否定感が深まってしまっているのではないでしょうか。大半の学生は就活を終えつつありますが、一定数の学生はこれから卒業までの間で、少しずつ個別対応しながら進路を決めていくというような状況になっております。

「採用の後ろ倒し」がかえって就活の長期化を促進したことに加え、今年は「オワハラ」という新語を生み出すような、企業の強引な囲い込みが目立ったように感じています。今年はそれに対する学生の相談がとても増えました。本学では、きちんと状況を説明して一定期間内定受諾を待ってもらうようにお願いするか、あるいはいったん内定を受諾し、その後も活動を継続したいなら継続しても構わない、最終的に入社する意思がなくなった時点で速やかに辞退の意思表示をするように、と指導しております。つまり「オワハラ」を迫られた場合は就活をいったん辞めます、と嘘をついてもやむなしという指導を行っております。学生の職業選択の自由を確保するためにはやむを得ないという判断でこのような指導を行っておりますが、一方で企業側による何とか評価の高い学生を確保したいという想いも、心情的にはとても理解できます。しかし「オワハラ」を強いる企業に対して、ほとんどの学生がマイナスの印象を持っており、逆効果になっているように感じております。変な言い方ですが、「就活を継続しよう」というモチベーションになってしまっているような印象ですね。

色々な報道にも出ていますが大学は様々な部分で改革を行わざるを得ない状況になっております。そうした中で、社会の求める人材を育成するという視点についても今までと違う教育を行う方向に向きつつあります。こういった流れの中では、新卒の就活だけがこのままの状態を継続させることにもそろそろ限界が来ているように感じております。2017年はおそらく今の仕組みを維持する方法で進むのでしょうが、そろそろ本気になって新しい仕組みを考えていかないといけないのではと思う今日この頃です。とはいえ私が地方都市でぶつぶつ言っていてもしょうがないのですが・・
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