メンバーが、一人ではお客様のお怒りが収まらないと考え、「上司を連れて行って、場を収める」という判断をした場面です。
「はあ?何やったんだよ・・・。本当に俺が行かなくちゃいけないのか?」とまでひどい態度を取る人は少ないでしょうが、嫌な表情をしてしまう人は意外に多いものです。もちろん、クレーム対応と聞いて心が弾む人はほとんどいません。
しかし、その表情をメンバーは見逃しません。嫌な表情をすれば、「あ、この上司はメンバーの事を大切に思っていない。メンバーの尻拭いは面倒くさいと思っているんだろうな・・・」と、直感的に感じ取ってしまいます。つまり、上司に対する信頼が一気に下がってしまうということです。
下がった信頼は、なかなか復活しません。その後の、マネジメントにも大きな影響を及ぼすこととなります。
もし、メンバーから「課長、実はクレームが発生しておりまして・・・、同行をお願いできませんでしょうか」と言われたら、「まずは、詳しく状況を教えてくれないか?」と事実を冷静にキャッチすることに努めることが大切です。そこに、「面倒くさい」「忙しいのに・・」といった感情を入れてはいけません。
明らかにお客様の勘違いや、そのメンバーに責任がない場合は、「大変な状況だったな・・。本当にお疲れ様」とねぎらってあげることも大切です。一方で、怠慢や不注意など、明らかにメンバーに責任がある場合は、しっかりと注意を行うことも必要です。「面倒くさい」という雰囲気で、「何やってんだよ!」と言われるとメンバーはカチンと来ますが、冷静に事実をヒアリングされ、その上で注意を受けた場合は、純粋に「指導されている」と感じ取るものです。
自分(上司)が同行する必要があると判断した際は、「じゃあ、早速先方にお伺いしよう」と即座に行動を起こします。事実を把握し、必要であればすぐにフォローしてくれる上司ほど頼りになる存在はいません。
もちろん、お客様先では「申し訳ございませんでした」と上司が率先して頭を下げることも重要なポイントです。お客様に対して、「この○○(メンバー)の力不足で、本当にすいません。こいつは、いつも注意が散漫で・・・」等と、お客様の前でメンバーを卑下するようなコメントを発するのはタブー中のタブー。あくまで、上司が「私の責任です」と頭を下げる。それにより、メンバーは上司への信頼を高めます。
クレームが起きた際は、上司力が試される大きな場面です。
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