古い話になりますが、とある食品会社が不祥事を起こした際に、その社長がテレビカメラの前で「私は寝てないんだ!」と怒鳴って問題になりました。対応で心理的に余裕がなくなっていたのでしょうが、この発言で「自分の事しか考えていない」という印象を与えてしまい、ひんしゅくを買ってしまったのです。
  これは、私たち上司も気を付けなくてはなりません。上司も人間ですから、体調不良の時もあれば、家庭で問題が起こっていることもあります。そのようなことがあれば、気持ちが落ち込んだり、やる気がなくなることもあります。

 しかし、一つだけ言えることがあります。
そのようなことは、メンバーには関係ないということです。

 メンバーは、お客様により良い価値を提供するために、そしてその結果自身の目標を達成するために、日々仕事に邁進しています。私たち上司は、そのようなメンバーをヘルプし、モチベーションを高め、チーム全体の目標を達成させる責任があります。「疲れていて体調が悪いから・・・」「家庭の事情で・・・」というのは、メンバーからすると、単なる迷惑にすぎないのです。

 このような見解に対して、「それはおかしい。上司も人間なのだから、メンバーも気を使うべきだ」という意見もあるでしょう。もちろん、気を使ってくれるメンバーは多いと思います。しかし、それに甘えて「事情があるのだから仕方がない。マネジメントができなくなることだってある」というのならば、それは自らのマネジメント不全を認めていることになります。

 たとえ、個人的に厳しい状況に置かれていても、それをメンバーの前で愚痴を言ったり、表情を曇らせて不機嫌そうな態度を見せるのはやはり問題です。会社に出社している以上は、個人的な悩みを態度には出さず、いつもの明るい表情でメンバーに接することがプロのマネジャーであると考えています。

 そもそも、個人的な悩みを増やさない努力をするのも重要かもしれません。私たちジェックの研修では、「仕事と私生活を共に全力投球する」ということを説いています。仕事だけにかまけて私生活を全力投球しないと、個人的な問題が起きやすくなり、それが仕事に悪影響を及ぼします。逆に、仕事に全力投球しないと、仕事がだんだんと嫌なものとなり、私生活に影響を及ぼします。
 
 それでも、どうしてもマネジメントが難しい状況なら、自ら働きかけてメンバーに役割を担ってもらったり、他のマネジャーにお願いをするなりして、マネジメントが機能するように心がけることが求められます。いずれにしても、「疲れている」「個人的な事情がある」からマネジメント不全になることは、全く言い訳にならないのです
 
 今回の記事を読んで、「そうだな」と感じた方は、マネジャーとして肚が固まっている方です。逆に、「ちょっと、厳しすぎないか?」と感じた方は、早々に肚を固めてください。
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