コンサルティングの一環で、様々な企業の職場にお伺いして仕事を見せてもらうことがあります。私は、営業部門へのコンサルティングが多いため、営業社員への同行をさせていただく機会もあります。各社のトップセールスの方々に同行させていただくと、非常に感心させられる面が多々あります。
トップセールスに共通する側面は様々ありますが、一つ挙げさせていただくとすると「次のアポイントのその場で取る」ということです。商談が終了すると、「では、次回は提案書をお持ちします。来週の水曜日か木曜日にお伺いしたいのですが、どちらがご都合よろしいでしょうか?」とすかさず、日程調整にかかるのです。
 
 同行後に、「なぜ、その場でアポイントを取るのか?」と尋ねてみたことがあります。ある企業のトップセールスは、「その場でアポイントを取って、次に訪問する日を決めてしまえば、自分にプレッシャーをかけられる。期限が決まっているからこそ、提案書も集中して作成することができる」という言葉が返ってきました。つまり、意図的に自分にプレッシャーをかけ、自分を奮起させているのです。
 逆に、なかなか成果の上がらない営業社員と同行すると、その場でアポ取ることはほとんどありません。その理由は、「その場でアポイントを取ってしまうと、他のスケジュールが組みにくくなる・・・」「もし、明日来てくれなどと言われたら、資料作成が間に合わない・・」など、リスクを回避するような言葉が並びます・・。

 このトップセールスの行動は、強いチームづくりにも応用できます。つまり、チームの全員が「期限を決めて行動する」ことを徹底するのです。
 例えば、会議で何か決定した場合、「それは、いつまでにやるのか?」という質問が、自動的に飛ぶようなチームにするということです。保守的なチームですと、「いつまでにやるのか?」という質問は出ません。期限を決めなければ、なかなか手を付けなくても責められることはないからです。

 決まったことをグズグスしてやらず、そのうち決まったことさえ忘れられている・・・。そのようなチームでは到底市場で勝ち抜いてくことはできません。決まったらすぐに行動し、成果を出し、市場のスピードに対応できてこそ強いチームです。
 まず、私たち上司が「期限を決める」言葉を口に出す習慣をつけることが第一歩です。朝礼の場でも、会議の場でも、「それは、いつまでにやる?」と投げかけるのです。「まあ、時間が空いてる時にやってよ」という妥協をしてはいけません。時間が空くことなど、早々ありませんので。

 一人一人への指導についても同じです。メンバーが「では、来月の早い段階で、この件をお客様に提案します」と言ってきたら、「早い段階って、具体的にいつまでのこと?」と問いかけるのです。一見嫌な感じにも思われます。しかし、その場で期限を決めなければ、そのメンバーは行動を起こさないかもしれません。行動を起こさなければ、当然成果にはつながりません。
 行動を後押しする第一歩が、「いつまでにやる?」という問いかけなのです。

 何事にも期限を決める。当たり前のようで、やっているチームは少ないのが実情です。
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