最近この二つの言葉のイニシアルをとったGとLの対比についていろいろ聞くことが多いですよね。最もインパクトがあったのはG型大学とL型大学の定義と大学の区分についての話題ではないかと思うのですが、もともとこれについてはG型経済とL型経済に日本の経済構造が変化しており、それぞれが独立しているのではなく密接に絡みあっているがしかしそれぞれが全くの別のパラダイムであるというのがこの一連のGとLについての定義や概念を発表された冨山和彦氏のお考えであるようです(私も最近冨山氏の著書を読んで理解したつもり(?)になったのですが・・)。また、G型の事業の企業の求める人材タイプとL型の事業の企業の求める人材タイプは異なるはずという指摘を冨山氏は著書の中で指摘されているのですがこれは個人的にはとてもしっくりきました。
さて、かねてからこのコラムでも最近の企業の求める人材像はどこも同じタイプになっているのではという指摘をさせていただいています。これについては本学に求人票を送っていただいている各企業が求める人材タイプについてのアンケート回答を北陸に本社がある企業とそれ以外の地域に本社がある企業とで分類して分析したことがありまして、下表のグラフは2012年度に求人をいただいた企業で分析したものです。
第35回 グローバルとローカル
若干の差異があるのかな?と当時は見ていたのですが、G型企業とL型企業のパラダイムに改めて当てはめるとかなり納得感が高まったと感じております。 北陸は3月に開業する新幹線に期待できる経済効果に沸き返っているのですが、本質的には地方の宿命ともいうべき人口減少問題に直面しており、まさしく基本的にはL型経済圏に位置づけられると思います。しかし、昔からニッチトップのものづくりが盛んであることからG型の事業(グローバルニッチトップ企業ですね)を行っている会社があります。ニッチップ企業の場合、そのマーケット規模によってはそれほど企業規模が大きくない会社も見受けられます。また小売業では全国に多店舗を展開するようなドメスティック型(D型?)の企業も存在します。実際にはさまざまなパターンの事業を行っている企業が混在しているので完全に二極化するとは言い難いのかなと思っていますし、もしかしたら前述のような地方でグローバル展開をしている企業(グローカル?)と自動車のような超大手でグローバルに展開する企業も求める人材タイプが異なるのかもしれません。
 そして企業の人材タイプは「他人から言われなくても自ら行動でき、失敗を恐れずにチャレンジし、課題や困難に直面した際は自らの創意工夫で乗り越えようとするマインドを持った人材」、明らかにG型の人材タイプです。

 変化のスピードが激しい時代環境下では確かにこのような人材タイプが必要なのは理解できるのですが、果たしてすべての事業タイプの企業で同じようなタイプが必要なのか?という部分について疑問を感じております。このようなコンピテンシーが変化の激しい環境下では必要だと思うのですが、であるならばさらにこうしたコンピテンシーに加えて、あるいはさらに持ち味や強みを細分化した人材タイプを企業ごと、あるいは上記の事業タイプごとにカテゴライズしていく必要があるのではと感じています。

 リーマンショック直後に今なら採用のチャンスがあるのでは?ということでL型企業の人事の方から多く求人の相談をいただいたのですが、ではどのような人材タイプを求めているのですか?とお訊ねしたところ、上記のG型タイプの人材をあげる企業がほとんどだったことがあります。なぜこのようなことになるのか?いろいろな要因があるのですが、一つは企業TOPがそうした人材を求める傾向が強いこと、もうひとつはこうした人材が採用時に優秀だという一律的な評価が定着してしまっており、複線的な人材タイプの評価が採用の現場で行いにくくなってしまっているということの二つがとても大きいのではと思っています。

 この辺りについて、少し調べてみようかなと思っている今日この頃です。
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