「報連相」という言葉は、新入社員研修で教えている基本ですが、多くの企業で、
「不足している」
「うまくいっていない」
と感じているようです。
「報告を怠ったがゆえに、お客様を怒らせてしまった」
「報告が遅れたために、適切な手が打てなかった」
といったことが、以前より増えているというお話を良くお聞きするようになりました。
もしかすると、メールやSNSでのやり取りが増え、対面での報告が少なくなることにより、報告をするという習慣が徐々に薄れてきつつあるのかもしれません。
ある企業の上司が、部下に「この前の〇〇工業の案件はどうなった?」と尋ねたところ、「はあ?おとといメールで報告したじゃないですか」との回答。
メールを見返してみると、全く違った案件のメールの最後に、「P.S.〇〇工業の件ですが、失注しました」と書いてあったそうです。
何も報告しないよりはマシですが、報告の重要性を理解しているとは言い難い状況です・・・。
やはり強いチームを作るためには、上司への報告を徹底させる必要があります。
報告があれば、適切な指示もできますし、アドバイスもできます。
時には、他のメンバーに声をかけて、協力してもらうこともできます。
つまり、チームの総力を挙げてフォローすることができるのです。
「成果が出たから報告するのではなく、よく報告するから逆に成果が上がってくる」
これは、東芝社長、経団連会長を務めた名経営者、土光敏夫さんの言葉です。
多くの従業員は、成果が出たら喜んで報告してくる。しかし、悪いことはなかなか報告しない・・・。
ただ、上司が悪い事実を知らないとどうなるでしょうか?
現場で起きている状況を正確に把握できないわけですから、現場に即した対策を打つことができません。
当然、改善が進まず、現場の状況は一向に改善しない。
結果的に、従業員がいつまでも仕事がしづらい状況が続きます。
良いことも悪いことも包み隠さず、上司に報告してこそ、状況が改善して仕事がしやすい環境ができるのです。
これは理想論でしょうか?そんなことはありません。実際に、勢いがいあり成果が上がっている企業は、報告の習慣が根付いており、上司も現場で起こっていることをしっかりと把握できています。
ただ、このような理屈がわかっても私達上司がメンバーの報告をどのように受け止めるかによって報告の習慣が根付くかどうかが決まります。
悪い報告があった際に、その人本人を非難するのではなく、
「なぜ、そうなったのか?」
「どうすれば解消するのか?」
をその場で一緒に考え、的確な指示を出す。
時には、自分が現場に赴いてメンバーと一緒に汗を流す。
そのような態度を見せることで、「上司に報告することは大切だ」「自分にもメリットがある」と実感できるはずです。
もちろん、私達上司が報告をして背中を見せていることが大前提ですが。
- 1