入社して10年程度経ったいわゆる「中堅社員」15名に対する研修です。
朝9時開始だったのですが、全体的にボーっとしている人が多い・・・。
大あくびをかいている人も数人います。
そこで、休憩時間に「皆さんお疲れなんですか?」と尋ねてみました。
すると、あるご受講者が「ええ、ものすごく疲れています・・。
何せ、ここ最近夜が遅いもので」と、ゴホゴホ咳をしながら話し始めました。
この1ヶ月は、新商品の販売があったこともあり、いつも会社を出るのは夜の11時過ぎだとのこと。時に、休日も出社して事務処理に当たっているようでした。
そこで、そのご受講者に聞いてみました。
「その状況について、上司はどう思っているんでしょうね?」と。
すると、「うちの課長が一番がんばっちゃってるんですよね。帰るのもいつも一番遅いんです。
課長は、私達に夜遅くまで残れとは一言も言いませんが、上司があそこまでがんばってると、こっちも帰りづらくって・・・」
この課長のように、自分が一生懸命がんばり、背中を見せてメンバーの心を動かし、行動を加速させようと努力する人がいます。それ自体は決して間違っているとは言えません。
しかし、今回のケースは度がすぎているようです。
なぜなら、「課長ががんばっているから、私達もがんばる」ではなく、「課長がムリしているから、私達もムリせざるを得ない」という状況になってしまっているからです。
仕事で成果を出す上で最も重要なことは何でしょうか?
もちろん、知識・スキル・人脈など重要なことは色々ありますが、最も重要なことはやはり「健康」ではないでしょうか。
健康が保たれませんと、知識もスキルも使えません。
また、健康ではない状態ですと気力もなくなり、仕事に集中できなくなります。
当然、成果が出にくい状況に陥ります。
「強いチーム」をつくる大ベースは、メンバー一人一人が健康で仕事をするということです。
しかし、メンバーの健康に気を配っている上司はさほど多くはありません。
メンバーがゴホゴホ咳をしていたとして、
「風邪気味みたいだから、今日は早く帰ってください」と気遣う上司は多いとはいえないのです。
そもそも、何故風邪を引いたのか?
もしかすると、日々遅くまで残って体力を消耗し、風邪を引きやすい状態をつくってしまったのかもしれません。
「健康管理」について、マネジメントしなかったことは、私達上司の責任でもあります。
特に前述の課長のように、マネジャー自身が一番遅くまで残ってしまうと、どうしてもメンバーは帰りにくい。多くのマネジャーは「私のチームはそんなことはない。
私が残っていても、みんな堂々と帰りますよ」と笑いますが、それは大きな誤解です。
マネジャーに気を使いながら、帰っている人が多いのです。それに気づいていないだけです。
とはいっても、マネジャーは様々な業務を抱えていて忙しい。
自分が遅くなるようでしたら、
「今日は私は遅くなりそうだから、みんな遠慮せず帰ってください」と一言コメントするだけで、メンバーは帰りやすくなります。
毎日毎日遅くまで仕事をしては、なかなか疲れが取れず、仕事に集中できなくなります。
時に、健康を害してしまうこともあります。
「強い」チームを作るために、是非メンバーの健康管理を徹底したいですね。