人材活用というテーマはいままでさまざまな議論がされ、多くの企業で意欲的な取り組みがされてきています。今時点で“タレントマネジメント”の中身を聞いても、“いまさら”的なものが多く、至極当然のことを言っているように思います。確かに経営により直結した人材管理という意味で、ある程度体系化されている概念でありシステムです。しかし人事管理を通常議論する者にとっては、新規性が見当たりません。さらにこのような“手垢のついた“概念に対して、わざわざ“タレントマネジメント”と称することが大げさな感じすら受けます。改めて英語で呼ぶことにも逡巡します。
このようなシステムが一般的になること自体は、企業の人事管理レベルを押し上げる基盤が提供されるという観点では非常に好ましいことです。しかしプロダクトとしては、今までの人事システムが本来カバーしているべき機能であるはずです。ところが、今までの多くの人事システムがこの機能を十分に顧客にアピールできなかったこともあり、人材活用のための積極的なシステム機能が発達しなかったのです。そのため既存の人事システムとタレントマネジメントシステムは本来一つのシステムであるべきところが、別のプロダクトとして販売されていることが多いのです。人事システムとタレントマネジメントシステムは使用するデータも共通性が高く、別のシステムである必要はないので、人事システムの機能拡張モジュールか、そもそも人事システム内に取り込まれるべき機能です。
人事管理がより高度になるためには、経営に対して人事管理がより重要で有効な管理であることを証明しなくてはなりません。タレントマネジメントシステムが新たなプロダクトとして定着するには、経営における人事管理の有効性が真に認識されなければならないということです。そして“タレントマネジメントシステム”が定着した時には、“タレントマネジメントシステム”などの洒落た名前ではなく、単に“人事管理システム”と呼ばれているはずです。
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