少し難しいプロジェクトを、全て丸投げしてしまうなどがそれにあたります。
自分の頭で考えさせ、試行錯誤する中でますますたくましくなる。
カベにぶち当たることで耐久力が磨かれる。マネジャーになるための、修練の場とも言えるでしょう。
目の前であたふたしているメンバーを見て、放っておけなくなってしまうのです。
しかし、これではせっかく仕事を「丸投げ」した意味がありません。
意図的な放任をした以上は、その人のためを思って、敢えてヘルプしないことが大切です。
特に上司としての胆力が問われるのが、丸投げした後に、失敗しかけているメンバーをどうするかです。
ここで安易に手を貸してしまうと、「やっぱり、最後は上司がなんとかしてくれる」という甘えが抜けなくなってしまいます。
実際に上司をやっている皆様ならお分かりのことかと思いますが、上司の上司、つまり上層部はそうそう手を貸してくれません。
つまり、上司になってからは、自分の力で難局を乗り切る力が必要となります。
メンバーのうちから、そのような状況を潜り抜けてきた人と、守られ続けてきた人では、
マネジャーになってからの伸びに差が出てしまうのです。
意図的な放任をした以上は、失敗しそうになっても敢えて手を貸さない。
失敗した状況から、自力でリカバリーする練習をさせるくらいの気持ちで丸投げしなくてはなりません。
実際にメンバーがリカバリーをし、成果を出した場合は、大いに評価すると共に、「なぜ、リカバリーできたのか?」を振り返ってもらいます。
「うまく乗り切った」点を自分で分析してもらい、鮮明に頭に焼き付けておくことで、その後同じような状況に出くわしたときに、乗り越える力が身に付きます。
もちろん、「なぜ、失敗しそうになったのか」も考えてもらい、そのような状況が起こりにくいようにしてあげることも大切です。
このようなリフレクション(振り返り)は、思い切って放任したからこそできる内容の濃いものです。すぐに手を貸してあげてしまっては、このようなリフレクションができず、成長が見込めなくなってしまいます。
レベルの高い人に対する意図的な放任は、非常に大変有効な育成方法なのです。
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