良い仕事を安定的にしていくためには、体調管理は非常に重要であることはいうまでもありません。仕事をすることによって様々なストレスや体の機能的なダメージなどで、体調が良好な状態に維持できませんのでなんらかのケアが必要になります。例えば仕事で長時間PCに向かっていると、首、肩、腰などが凝ります。当初は軽い不調な状態なのでしょうが、この日常の少しずつのマイナスを解消する行動をとらなければ、ずっと不調な状態が続くことになります。この多少の不調はおそらく仕事のパフォーマンスにも影響します。完全に健康な状態であればより高いパフォーマンスを継続して出せるはずです。
  こんなことは誰でも頭ではわかっていますが、なかなか体のケアを根本から解消する行動を継続してとっている人は多くはありません。本来は定期的な運動や栄養の管理をすれば、健康な状態を保てることはわかっていますが、運動を怠ったり、ついついお酒の誘惑に負けてしまうことなども多いのではないでしょうか。そのため首や肩があまりにも凝ると、マッサージなどに行って一時的にリフレッシュしたりもします。マッサージは一時的な対処療法で根本的に問題を解決するものではないことは重々分かっていながら、ついつい行ってしまうのです。この対処療法は一時的には効果がありますので、習慣的に利用するようにもなったりします。

 さて企業の人事管理にも同じようなことが言えます。現在の人事上の問題や課題に対して、本来は根本から解決しなくてはならないことは頭ではよく理解しているのです。しかし根本的な解決には様々な障壁や制約がありますので、その障壁、制約を乗り越えて敢えて根本治療をすることは相当な努力を要します。そのためついつい対処療法にたよりがちになります。例えば管理職が増加し若手の管理職社員がポストに就けないという問題に対して、役職定年制のような施策で対応することがあります。この役職定年制度は、そもそも管理職が必要以上に昇格してしまうという、人数構造や昇格制度ひいては等級制度全体の構造敵か威嚇が必要なのに対して、根本治療をしないで対応しようとするものです。このような対処療法は一時的に効果はありますが、あまりに役職定年者が多く発生するようになると対処療法としての限界で、副作用が発生するのです。

 人事管理が経営と連動していて、経営計画達成のために不可欠な重要な管理であることは疑いのないことではありますが、ですが本当に今の経営に不可欠で連動しているのかは疑問です。おそらく合理的に考えれば人事のあり方はもっと大きな見直しをしなければならない企業も多くあると思います。また経営者や人事部門も本来的な人事のあり方はもっと大胆かつ根本的に解決しなければならないことは頭では十分に分かっているのです。ついついマッサージに行ってしまう姿勢ではなく、本来的な解決、改革をすることが今の人事管理に求められています。
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