つまり、自分がメンバーとして活躍していた頃の、少し前の時代の市場感覚でモノを言っているというのです。
この不満について、もともと私は懐疑的でした。メンバーが上司の言っている意味を理解できず、その言い訳として「市場を分かっていない」と言っているのではないかと思っていたのです。
そこでメンバーの皆様に「では、皆さんの上司がどのような事を言っているか教えて下さい」と逆に聞いてみたことがあります。実際に内容を聞いてみて、「それは、上司の言っていることが正しい。皆さんはまだまだ甘い」と指摘しようかと思ったのです。
しかし、出てきた内容に「・・・」となったことがあります。
確かに、感覚が5年前でストップしていると感じさせる内容が結構多かったのです。
自分がプレイングマネジャーとして、市場に出ているマネジャーはあまりそういうことはありません。しかし、マネジャー業務に専念している上司は、相当努力をしないと、本当に「時代遅れ」の発想になってしまいます。
社内にこもりっきりになり、市場と接点を持たない割には、自分が成功していた頃の内容をさも「今起こっていること」のように話す、「化石上司」になってしまうのです。
この「化石上司」は、想像以上に多いのですが、本人は気がついていないことも多いようです・・・。
「メンバーがお客様とどのような事を話したのか」
「お客様はどのようなことに困っているのか」
「お客様はこれからどのような事をしようと思っているのか」
などを、雑念を振り払って素直に聞くのです。
分からない点は、率直にメンバーに教えてもらいます。
そのように市場の情報をキャッチすることで、上司としての判断に磨きがかかります。
ただ、「素直に聞く」のは結構難しい。メンバーが話している最中に「何をやってるんだ。それじゃダメだろ」などと余計な説教をし始めると、メンバーは口を閉ざしてしまいます。すると、情報が得られません。
最も困るのは、上司本人です。
ますます化石になってしまい、存在価値の低い上司になってしまいますので。
もちろん、自ら市場に出て情報をキャッチすることも重要です。
メンバーに対して「○○社長と話がしたいから、一緒に行こう」と誘って、市場の情報をキャッチしに行きましょう!