最近コラムの更新のスピードが鈍っておりまして反省しております。
実は先月(3月12日~16日)は「海外トレーニー研修」の学生の引率で中国に行っておりました。15日のテレビ東京のWBSでも紹介されていたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが今回はこの件について書いてみます。
実は先月(3月12日~16日)は「海外トレーニー研修」の学生の引率で中国に行っておりました。15日のテレビ東京のWBSでも紹介されていたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが今回はこの件について書いてみます。
海外トレーニー研修とは?
実はこの海外トレーニー研修は今回で4回目です。本学内で担当部門が変わりまして昨年より就職支援室で実施することになりまして、その関係で小職も今回随行いたしました。地元の地方銀行である北陸銀行様に費用の大半をご負担いただくだけでなく、中国での企業の視察先などのセッティングも行っていただくなど大変なお手間をおかけし、これらのご厚意に甘えさせていただく形で実施させていただいております。学生は金沢大学10名、富山大学10名の計20名が参加しております。研修の内容としては中国に進出している北陸の企業の視察、および現地の大学生との交流というのが2本の柱になっております。文字通り百聞は一見にしかずということで、やはり現地で見ること聞くことは全く刺激が違うように感じます。日本と異なる現地の環境で活躍している日本人、そして強い上昇志向を持った現地の学生たちと接することで参加したほとんどの学生が将来は海外で働くということを強く意識したのではと思います。これまでは漠然としかイメージできていなかったグローバルな環境で仕事をするということに対して具体的なイメージができたのではないかと思います。
キャリアラーニングイベントとして運用
本学の場合、この研修は就職支援室が主催しているキャリアラーニングイベントの行事として位置づけております。具体的には下記のようなP-D-C-Aサイクルを廻す形での運用を行っております。(1) 参加前に学生が本研修で何を学ぶかについて自己設定させ、あわせて研修中にどのような行動を心がけるかを事前に受診した「就業基礎力12の力」に基づいて記述させる(学生が利用するポータルサイトに収納されているプログレスシートを利用)。
(2) 研修実施後、報告会を実施しそこで学んだ成果、今後の取り組み内容について一人ひとりが発表する。それについて教職員、学生、一般受講者も交える形で質疑応答、助言などを行う。
(3) (1)で自己設定した目標についてプログレスシート上で、自己評価させる。あわせてもう一度「就業基礎力12の力」を受診し、参加前と変化した能力要素の部分についても自己評価を行う。
(4) (3)で記載された学生の自己評価内容を、研修期間中の当該学生のアセスメントに基づき、プログレスシート上でフィードバックを行う。
というような流れです。単に海外に行っていろいろなものを見て経験してよかった、勉強になったということだけ終わらぬよう、以降の学生の具体的な行動変革につながるように配慮して運用を行っております。小職が随行しているのは研修期間中の学生たちのアセスメントと報告会およびプログレスシートでの個別指導を担当しているためで、引率というよりコーチ役のような役回りですね。参加学生数が本学だけであれば10名と個別対応することが可能なので、できる限り学生個々人の今後の成長につなげるべく研修中、そして研修後も接するように意識しております。
グロ-バル人材育成とのかかわり
グローバル人材育成だけにとどまらず大学に対する人材育成ニーズの高まりはかつてないレベルにまできていると感じております。そうしたニーズにこたえるためのひとつの取り組みとしてこうしたキャリアラーニングの仕組みを本学では取り入れているのですが、一言で言えば経験を学びの場として有効活用することと、学生一人ひとりのそうした自律的な学びを促進するためスキル(P-D-C-Aサイクルの自律的運用スキル)を修得させることを目的として運用しております。グローバル人材育成の視点からいうと今回のトレーニー研修に応募する学生は語学については一定の興味と関心を持っている学生がほとんどです。今回は上海大学の日本語コースの学生との交流でしたが、留学経験のない中国の学生が普通に日本語でコミュニケーションをとる姿に衝撃を覚えた学生がほとんどだったようです。これまでの学習量ではまだまだ不十分であることについては十分に自覚ができたと思いますが、あわせて自己の可能性を規定することなく高い志や野望を持ち、その達成に向けて大きなチャレンジを繰り返すような学生生活を送るような心がまえを持たせることがグローバルに通用する人材育成につながるのではと考えております。
大学がグローバル人材育成にどのようにかかわるべきかという問題については私自身がまだよくわかっていない部分も多いのですが、経験則からいうとやはり海外に出る、海外の人たちと話す機会を増やすという機会を多く持つことが少なくとも学生の視野を広げるうえでは有効であると考えます。そういう点は大学教育という視点ではないのですが、外国人と多く接点を持つような学生を増やす、たとえばSNSも含めた友人リストに外国人が20人以上いる学生が全体の80%を超えているような大学を目指すというのはグローバル人材育成に有効性があるように感じています。ちなみに今回交流した上海大学の学生たちとは引き続きLINEで交流するように連絡先を交換していた学生がほとんどだったようです。
さらに、今の学生は自らが望むと私たちのときとは違ってすぐに世界中の人たちと様々な形で交流することができる場を設定することができます。そういう意味では動機づけを与える機会を増やすことがそれなりに有効であり、今回のトレーニー研修もそうしたきっかけづくりの場としてはとても有効です。ただそれだけでは限られた人数しか参加できないために波及効果が少ないと考えておりまして、先述したキャリアラーニングの仕組の中で参加した学生の継続的な成長を支援することを狙っています。また参加した学生の成長を支援することはもちろんですが。こうした学生が大学の中でほかの学生たちのロールモデルとして影響力を持つ存在として活躍すること、そして成長のきっかけとして大学の行っている様々な取り組みを積極的に活用する気風が学生に根付くことが大学全体の学風や学生の気質に変化をもたらすことも併せて期待して実施しております。このあたりの考え方は企業における風土変革の取り組みと非常に近いと思っているのですが・・
では今回はこのあたりで・・・
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